作物研究所

麦栽培マニュアル

ゆきちから

主要特性

  • コユキコムギより2日早い早生種である。
  • 赤さび病、縞萎縮病及びうどんこ病に強い。
  • 耐寒雪性及び耐倒伏性が強い。
  • 蛋白質含量が高く、製パン適性が優れる。

ゆきちから(写真右下:左から、ゆきちから、キタカミコムギ、コユキコムギ、ナンブコムギ)

写真右下:左から、ゆきちから、キタカミコムギ、コユキコムギ、ナンブコムギ

作業工程

播種適期は北東北では9月中旬~10月上旬、南東北では10月中~下旬
播種量はドリル播で8kg/10a

適期播では多収だが、早播、晩播では低収。播種量は適期播で8kg/10aだが、晩播では10~12kg/10a。

播種期・播種量が収量に及ぼす影響(福島農試)

播種期・播種量が収量に及ぼす影響(福島農試)

早播(10/15):適期播(10/22):遅蒔(11/7)、播種量6,8,12kg/10a

十分な基肥の施肥で多収栽培

基肥量が多いほど穂数、穂長が増加し、収量が増す。過繁茂や倒伏に注意し、十分量の基肥施肥で多収。

基肥施肥量が収量に及ぼす影響(岩手農研、岩手農研東北、福島農試)

基肥施肥量が収量に及ぼす影響(岩手農研、岩手農研東北、福島農試)

融雪期追肥及び出穂期追肥で高蛋白・多収化

高蛋白・多収化を図るため、追肥は融雪期と出穂期の2時期に窒素成分量でそれぞれ2~4kg/10a施用。

追肥時期が収量、原粒蛋白質含量に及ぼす影響(岩手農研)

追肥時期が収量、原粒蛋白質含量に及ぼす影響(岩手農研)

融雪=融雪期、減数=減数分裂期、出穂=出穂期、2=2kg/10a、4=4kg/10a施用。

製パン適性は小麦粉の蛋白質含量と関係が強い

小麦粉の蛋白質含量は、最低10%以上が必要。製パン適性は小麦粉の蛋白質含量と強い相関があり、蛋白質含量10%以下ではパンの膨らみが悪く、おいしいパンができない。適正な追肥管理により小麦粉蛋白質含量が10%以上(原粒蛋白質含量11%以上)になるよう努める。

蛋白質含量

小麦粉蛋白質含量と中種生地法によるパン総合評価点との関係(東北農研、東北各県農試)

蛋白質含量が高ければ高いほどパン総合評価点が高い。

品質低下を防ぐため、成熟期に達したら早めに収穫

成熟期以後の雨濡れにより穂発芽や外観品質が低下する場合があるので、成熟期に達したら雨に当てないように早めに収穫する。成熟期後雨濡れ処理3日目から最高粘度は低下し始める。

成熟期後雨濡れ処理日数(日)

成熟期後雨濡れ処理日数が小麦粉の糊粘度(最高粘度)に及ぼす影響(東北農研)

最高粘度は高いほど品質が良い。
150RVU以下は低アミロと考えられる。

「ゆきちから」の生育特性(岩手県)

品種名 成熟期
(月日)
収量
(kg/10a)
耐倒
伏性
赤さ
び病
縞萎
縮病
耐寒
雪性
穂発
芽性
外観
品質
ゆきちから 7月5日 43.6 上下-中上
コユキコムギ 7月7日 39.1 中中
キタカミコムギ 7月10日 42.8 やや強 やや易 上下

「ゆきちから」の品質特性(岩手県)

品種名 蛋白質含量
(%)
パン総合評価点
ストレート法 中種生地法
ゆきちから 13.3 80.3 90.9
コユキコムギ 12.3 77.7 83.8
ICW(カナダ産) 13.2 89.6 87.6

ゆきちからの栽培適地

鯛寒雪性が強いため、寒冷地である東北・北陸地域の根雪日数110日以下の平坦地に適応する。栽培上の注意として、少肥栽培では低収量・低蛋白質となり製パン適性が低下するので、十分な基肥と融雪期追肥及び出穂期追肥を組み合わせた適切な肥培管理を行う。また、成熟期に達したら雨に当てないよう早めに収穫する。

ゆきちからの栽培適地