作物研究所

水稲多収生理プロジェクト

イネの収量ポテンシャルと環境安定性の向上を目指して!

稲の写真水田は高い生産持続力をもっています。イネの収量のポテンシャルと安定性をもっと向上できれば、イネとコメの活用はもっと広がります。そのために、イネの収量性や品質、さらに環境反応を決める生理メカニズムをイネゲノム情報を利用してより深く明らかにし、多収で気象変動にも強い稲作りに貢献します。

水稲多収生理プロジェクトでは

稲の収量性や気象環境への反応を決める生理形質や遺伝要因を解明し、新しい多収品種や気象変動に強い稲品種と栽培法の開発に役立てる研究を進めています。

  • 収量性に関わる生理・形態的な特性、分子メカニズムと遺伝要因の解明
  • 脂質、細胞壁成分、たんぱく質などの集積の分子メカニズムの解明と利用法の開発
  • 象変動、特に高温下での稲の生育や登熟障害の生理メカニズムの解明と対策技術の開発

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プロジェクトの背景

  • 水田は優れた生産システム!
    水田は畑にくらべ高い生産持続性と環境保全性を持っています。一方、現在の日本人の一人当たりの米消費量は現在約60kg。ピーク時の約半分です。収量性がより高く、気象変動にも安定して獲れる稲ができれば、もっと水田を有効利用し、多様な稲作りができると考えられます。飼料用稲やバイオマスエネルギー利用など稲の多様な利用の可能性がひろがります。稲作に投入される肥料、燃料など有限な資源やエネルギーの有効利用のためにも、収量性の向上は不可欠です。
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  • より沢山の米と稲を!
    現在の日本のコメの平均収量は約530kg/10アールです。しかし、インディカ品種などには、最高1トン/10アール以上も獲れる能力を秘める多収品種があります。このような多収性を支える高い籾の収容能力、光合成能、物質集積能力などに関与する遺伝子機能をイネゲノム情報を利用しながら解明できれば、収量性や品質、肥料利用効率の向上が効率的に行なえます。
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  • 高温による障害の軽減を目指して!
    稲は熱帯由来の作物と考えられています。しかし、特に生育後半の高温は、稲の収量や品質の低下を引き起こします。近年、夏季の高温化や田植え期の前進化により、高温による乳白粒などの発生が増加する傾向にあります。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告では、今後もさらに高温化と気象変動の拡大が予測されています。このため、高温障害が起きる生理メカニズムや品種間の違いの原因を解明し、高温耐性品種や栽培法早急に開発する必要があります。
  • 稲収量性研究チームの設立まで
    稲収量性研究チームは、作物研・稲栽培生理研究室、東北農研・栽培生理研究室、中央農研北陸研究センター・稲機能開発研究室、米品質評価研究チーム、近中四農研・栽培生理研究室が母体となって平成18年4月に設立されました。

トピックス

  • 高温登熟研究会が福井県で開催されました(平成19年7月18-19日)
    高温登熟研究会

最近の主要論文

  • A genetic resource for early-morning flowering trait of wild rice Oryza officinalis to mitigate hightemperature-induced spikelet sterility at anthesis.
    Tsutomu Ishimaru, Hideyuki Hirabayashi, Masashi Ida, Toshiyuki Takai, Yumiko A. San-Oh,Satoshi Yoshinaga, Ikuo Ando, Tsugufumi Ogawa and Motohiko Kondo
    Annals of Botany 106:515-520 (2010).
  • A Quantitative Trait Locus for Chlorophyll Content and its Association with Leaf Photosynthesis in Rice
    Toshiyuki Takai, Motohiko Kondo, Masahiro Yano and Toshio Yamamoto
    Rice 3:172-180 (2010).
  • Dissection of a quantitative trait locus controlling carbon isotope discrimination and its contribution to stomatal conductance in japonica rice.
    Toshiyuki Takai, Akihiro Ohsumi, Yumiko San-oh, Ma. Rebecca C. Laza, Motohiko Kondo, Toshio Yamamoto and Masahiro Yano.
    Theor. Appl. Gen. 118:1401-1410 (2009).
  • Formation of Grain Chalkiness and Changes in Water Distribution in Developing Rice Caryopses Grown under High-Temperature Stress.
    Tsutomu Ishimaru, Akemi K. Horiganeb, Masashi Idaa, Norio Iwasawaa, Yumiko A. San-oha, Mikio Nakazonoc, Naoko K. Nishizawac, Takehiro Masumurad, Motohiko Kondoa, Mitsuru Yoshida
    J. Cereal Sci.50:166-174 (2009).