作物研究所

稲遺伝子利用技術プロジェクト

遺伝子組換えイネの実用化を目指して

top001これまでの品種開発によって、たくさんのイネ品種が作られていますが、従来育種では出来ないこともあります。そのような場合には、遺伝子組換え技術の適用が有効です。当チームでは安全性や社会需要にも配慮した関連技術の開発も含め、実用組換えイネ系統の作出に取り組んでいます。

稲遺伝子技術研究プロジェクトでは

top002つくばと新潟の2カ所の研究室で遺伝子組換え技術を用いて、トリプトファンをたくさん含むイネや病気にかかりにくくなったイネ等、有用組換え体の開発に取り組んでいます。また、組み込んだ遺伝子の働きをコントロールする技術や周辺のイネとの交雑を避ける技術など、組換え体の開発に必要な様々な技術の開発にも取り組んでいます。

プロジェクトの背景

遺伝子組換え作物の栽培は既に世界中で1億ヘクタールを越えており、安定した食糧生産のための重要な技術となっています。イネでも、世界中で様々な組換え体の開発が進められています。私たちの研究チームでは、遺伝子組換え技術を使って、次のような研究に取り組んでいます。

top003

  • 我が国の将来の農業に役立つ研究
    今後の我が国の農業では、より一層の省力化や環境との調和が求められると思われます。そこで、私たちは、アミノ酸の1つであるトリプトファンの含有量を飛躍的に高めたイネを開発しています。これを鶏や豚などの飼料として活用することで、家畜の排泄物を減らし、環境への影響を減らせることが期待されます。また病気に罹りにくくし、省力化と減農薬に役立つイネの開発も進めています。
  • 組換え体の栽培に当たっての皆様の理解を得るための研究
    私たちは組換え体の開発は国民の皆様の理解を頂きながら進めるべきものと考えています。そこで、抗生物質抵抗性遺伝子を使わない遺伝子組換えイネ作出技術の開発や、花粉の飛散によって周辺のイネと交雑しないように、花が開かずに受粉するイネの開発など、より安心感の持てる組換え体の開発に取り組んでいます。

最近の主要論文

  • Kaoru Kobayashi, Naoko Yasuno, Yutaka Sato, Masahiro Yoda, Ryo Yamazaki, Mayumi Kimizu, Hitoshi Yoshida, Yoshiaki Nagamura, and Junko Kyozuka. : Inflorescence Meristem Identity in Rice Is Specified by Overlapping Functions of Three AP1/FUL-Like MADS Box Genes and PAP2, a SEPALLATA MADS Box Gene. The Plant Cell DOI:10.1105/tpc.112.097105(2012)
  • Fukayama H., Sugino M., Fukuda T., Masumoto C., Taniguchi Y., Okada M.,Sameshima R., Hatanaka T., Misoo S., Hasegawa T., and Miyao M. : Gene expression profiling of rice grown in free air CO2 enrichment(FACE) and elevated soil temperature. Field Crops Research, 121: 195- 199 (2011)
  • Hitoshi Yoshida, Is the lodicule a petal: Molecular evidence? Plant Sci. 184: 121-128 (2012) Hitoshi Yoshida and Yasuo Nagato : Flower development in rice. J Exp. Bot. 62: 4719-4730 (2011)
  • Taniguchi, Y., et al.: Selecting genetic transformants of indica and indica-derived rice cultivars using bispyribac sodium and a mutated ALS gene. Plant Cell Reports., 29, 1287-1295 (2010).