果樹茶業研究部門

カンキツ研究領域(興津)

多様なカンキツ遺伝資源
国際植物遺伝資源研究所(IPGRI)の東アジア地区カンキツ保存センターとしての機能を担っており、カンキツおよびその類縁種、 各種常緑果樹の遺伝資源の収集・保存・評価を行っています。色、形、味、病害抵抗性・・など、果実や樹の形質を異にする多くのカンキツ遺伝資源は、カンキツの育種を進める上でとても重要です。

カンキツ研究領域は、その所在を静岡県静岡市清水区興津中町に置き、将来を見据えた普及性の高いカンキツ新品種や、DNAマーカーなどのゲノム情報を活用して効率的に有用特性を持った育種素材を育成しています。最近育成した有望品種には、マンダリンタイプの「みはや」やレモンの「璃の香」があります。また、樹体管理方法の改変により、生産者が省力・低コストでカンキツを生産でき、しかも害虫の天敵利用などを利用することで、難防除病害虫であるハダニやそうか病なども効果的に防除できる技術開発を目指しています。さらに、酵素を使ってカンキツの皮を剥く技術や、長期間鮮度を保持した状態でカンキツを貯蔵する技術を開発し、成果を加工・流通業者や卸売・小売業者に提供しています。例えば、温州ミカンでは従来の5°Cでの貯蔵よりも少し温度が高い8°Cで貯蔵すると、本来の風味を維持して貯蔵できることが分かってきました。一方、消費者には、温州ミカンが関係する健康情報を発信しています。ここ10年にも及ぶ研究から、温州ミカンに含まれるカロテノイドの一種であるβ-クリプトキサンチンの摂取が閉経女性の健康な骨の維持・形成に効果のあることが分かり、静岡県浜松市三ヶ日町のJAみっかびの温州ミカンにはその効果を謳った表示(機能性表示食品)をして販売しています。骨の維持・形成以外にも、温州ミカンの摂取量が多く血中のβ-クリプトキサンチン値が高い人では、1飲酒を原因とする血中高γ-GTP値、2高血糖による血中高ALT値、3動脈硬化、4インスリン抵抗性、5メタボリックシンドローム、6喫煙・飲酒による酸化ストレスなどのリスクが有意に低いことを明らかにしています。研究以外には果樹技術者の養成という重要な任務を任されています。この農業技術研修制度は明治39年の見習生制度に由来する長い歴史のあるものです。ここカンキツ研究領域には常緑果樹コースが設置されて全国各地から研修生が集まり全寮制の2年間のカリキュラムでカンキツに係る知識と技術を習得しています。卒業生には次世代のカンキツ産業を支える中核生産者として期待が集まっています。また、管理チームと技術支援センター業務第1科も置かれて、研究をサポートしています。このように、カンキツ研究領域は、これからも我が国のカンキツの研究の中心地としての役割をはたしていきます。


領域長

森口 卓哉(もりぐち たかや)

所属研究ユニット

法人番号 7050005005207