畜産草地研究所

飼料イネ給与による高品質な乳・肉生産技術の体系化

飼料自給率向上のため、飼料イネを稲発酵粗飼料に調製するキーテクとして乳酸菌製剤「畜草1号」を開発するとともに、飼料イネ給与により肉色保持期間を延長し、飼料イネの普及に貢献した。作付け面積は約5000haに拡大した。

背景

米消費量の減少とともに、100万haを越える水田の利活用が求められている。一方、輸入飼料に依存する大家畜経営での飼料自給率の向上が大きな課題となっている。転作田の高度利用を目途に、飼料イネ専用品種の育成と栽培技術の開発が進められ、その生産が全国的に拡大しつつある。酪農および肉用牛生産における飼料イネの普及・定着に向けて、稲発酵粗飼料の調製・貯蔵技術および給与技術等、利用技術の開発が求められていた。

目的

稲発酵粗飼料用イネの品種開発および栽培技術開発を受けて、収穫・調製・貯蔵技術、合理的給与技術を開発し高品質な乳肉生産技術に体系化する。

成果

  • 稲発酵粗飼料の品質改善と長期貯蔵に優れる乳酸菌「畜草1号」の凍結乾燥製剤を開発し、市販化した。
  • 乳牛への給与では、稲発酵粗飼料は嗜好性がよく、泌乳牛への給与飼料の乾物30%まで稲発酵粗飼料を給与しても、平均日乳量40kg以上、乳脂肪率3.8%を維持でき、日乳量が40~50kgに達する泌乳初期の泌乳牛ではTMR飼料中に乾物25%が上限の目安であることを明らかにした。
  • 肉牛への給与では、稲発酵粗飼料中のビタミンEが牛肉に保持されることにより、保存中の脂質酸化が抑えられて肉色の変化も小さく、良質な牛肉が生産された。
  • 個別技術の体系化を図り、総合技術マニュアルとして提示した。
  • 体系化した技術を飼料イネ情報交換会、出前研修会(青森県から鹿児島県まで、平成17年度実績は16回)、現地検討会等を通じて現地普及を促進し38道県において約5000haに作付けが拡大された。

図

研究の今後

さらなる飼料イネ作付け拡大と、より高度・安定的な稲発酵粗飼料調製利用のため、飼料イネ生産集団と酪農及び肉用牛の生産現場を直結する飼料イネ主体TMRセンターにおける新技術開発・体系化、流通組織化を促進する。