畜産草地研究所

省電力・資源回収型の畜舎汚水処理システム

畜舎汚水浄化における電力費削減と有用資源回収を図るために、リンの結晶化除去回収技術、高効率メタン発酵技術、土木用資材利用好気性浄化技術、硫黄細菌利用窒素除去技術を組み合わせた汚水浄化システムを開発し、実証プラント試験、それに基づく暫定マニュアルの発行等により実用化を目指した。

背景

現在、多様な畜舎汚水処理技術が利用されているが、運転経費がより安く、管理の容易な技術が望まれている。また、水質規制はますます厳しくなり、窒素やリンの排出規制への対応も重要となっている。さらに、資源循環型社会を迎えるなかで、資源回収型の処理技術が望まれている。

目的

畜舎汚水処理に要する電力費が少なく、河川や湖沼を汚す汚濁物質を安定して取り除くことができ、しかもエネルギー資源や肥料資源を回収できる畜舎汚水処理技術を開発する。

成果

  • リン結晶化回収槽、高効率メタン発酵槽(UASB法)、土木用不織布充填型好気性処理槽、硫黄酸化細菌利用窒素除去槽から成る実証プラント(図1)を設置し、その運転結果に基づき設計・維持管理暫定指針を刊行した(畜産草地研究所研究資料第5号平成16年10月)。
  • リン結晶化槽(図1-①)により、汚水中の水溶性リンの約50%をMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)の結晶として回収できる(汚水1トンから50~180 gの結晶を回収)。この結晶は緩効性肥料として利用できる。
  • UASB法(上向流嫌気性汚泥床法)メタン発酵槽(図1-②)では有機物濃度が低下するとともに、発電に利用可能なバイオガスが得られる。さらに好気性処理槽(図1-③)での処理により、BOD(有機物)濃度が放流基準に合致した処理水が得られる。
  • 硫黄酸化細菌利用窒素除去槽(図1-④)では、残存する硝酸態窒素がさらに除去される。
  • 本プラントが要する電力は従来型浄化技術に較べて約半減する。

図

研究の今後

全体システム(図2)としての実用化だけでなく、システムを構成するそれぞれの技術単独で既存施設へ適用する方向での実用化も目指し、研究を推進する。