畜産草地研究所

家畜ふん尿の資源化過程で発生する臭気を処理する装置

家畜ふん尿を堆肥や液肥に調製する際の臭気対策技術を高度化するために、臭気に硫化水素等が含まれても腐食しない安価で自作可能な臭気搬送装置(空気エゼクタ)、および、臭気中の高濃度アンモニアを捕集して肥料として回収できる簡易なスクラバを開発した。

背景

家畜ふん尿の処理過程で発生する臭気を脱臭槽で吸着・分解するシステムが普及しつつあるが、臭気に硫化水素等を含む場合、臭気を搬送するための送風機が短期間に腐食して機能が持続しない事例が多い。また、堆肥化過程では堆肥の表面からアンモニアが高濃度で発生するため、表面全体、あるいは施設全体を大風量で吸引して臭気を希釈しない限り、既存の脱臭槽で吸着・分解することは難しかった。

目的

硫化水素等を含む腐食性の臭気を送風機に接触させることなく、脱臭槽へ搬送する臭気搬送装置を開発する。また、簡易なスクラバを開発することで、臭気に含まれる高濃度アンモニアを窒素肥料として回収可能とする。

成果

  • 臭気搬送装置は、空気エゼクタの原理を利用し、配管途中に設けたノズルからの噴流により平行管との間隙を負圧にして臭気を吸引するので、送風機に臭気が接触せず腐食しない(図1)。送風機と塩化ビニル製配管材を組み立てるだけで安価に製作でき、故障することなく長期間安定して機能する。吸引圧は低いが臭気が適度に希釈されるので、スラリーピットでの曝気で生じる高濃度臭気を土壌脱臭槽等へ搬送するシステムに適する。
  • 簡易スクラバは、臭気が搬送される配管内にリン酸や硫酸等の薬液をシャワーして、臭気中のアンモニアをリン安や硫安等の液肥として回収する(図2)。薬液とアンモニアガスを反応させる気液反応筒の構造が簡単で小型化されており、アンモニア回収率99%以上の能力がある。また、薬液を適温に維持するヒータを備えており、排気中の水分が結露して薬液が希釈されたり、低温で結晶化することを防ぐ機能がある。吸引通気方式や密閉型の堆肥化装置から排出される低流量(1~10m/秒)で高濃度(35,000ppm程度)のアンモニアガスの回収に適する。

図

研究の今後

既往の開発技術と簡易スクラバを組み合わせて、臭気を抑制しつつ多様な資源を回収・利用する吸引通気式堆肥化システムの構築・普及を目指す(図3)。

図