畜産草地研究所

草地土壌の持つ窒素溶脱防止効果

施肥や家畜ふん尿由来の窒素による地下水汚染を防ぐために草地の持つ窒素溶脱防止機能を明らかにした。草地は土壌中の窒素を保持し、地下水への溶脱を防止する機能が高いため、傾斜地の下流域に無施肥の草地を配置することで水系の硝酸態窒素汚染防止を図ることができる。

背景

資源循環型の畜産経営が望まれており、放牧の推進や家畜ふん尿の草地飼料畑への還元が求められるが、家畜ふん尿の多量施用は地下水の汚染を引き起こす危険性がある。また、山地傾斜草地では排糞尿や施用された肥料が河川を汚染する危険性がある。

目的

草地の持つ窒素溶脱防止機能を明らかにするとともに、硝酸態窒素による地下水の汚染を防止する技術を開発する。

成果

  • 草地土壌中の浸透水を採取できる施設(ライシメータ)にオーチャードグラス草地を造成し、土壌水中への窒素溶脱を調査した。
  • ヘクタール当たり1000kgという多量の窒素を施用した場合には、窒素施用1年後から、ライシメータ底面より流出する土壌水の中の窒素濃度の上昇がみられ、施用した窒素の2割以上が流出した。無植生区ではこの傾向がさらに著しかった(図1)。
  • ヘクタール当たり250kgおよび500kg区では2年目以降も土壌水中の窒素濃度は10mgL-1以下に維持され、窒素の流出はきわめてわずかであり、草地の持つ窒素保持機能が高いことを明らかにした。
  • 下流部に無施肥の草地を有する山地傾斜草地において、土壌水中の硝酸態窒素濃度を谷に沿って調査したところ、下流の無施肥草地を通過することにより、土壌水中の硝酸態窒素濃度が低下した(図2)。
  • 草地は土壌中の窒素を吸収し保持する機能が高いことから、斜面の下流域や河川に接する位置に無施肥の草地を配置することで、水系の硝酸態窒素汚染防止を図ることができる。

図