畜産草地研究所

高品質畜産物の効率的な生産に向けたルーメン微生物機能向上技術の開発

高品質な畜産物を効率的に生産するための基礎として、ルーメン微生物の機能を簡便に解析することが可能となる技術を開発するとともに、ルーメン細菌の増殖を制御する物質などについて解析した。

背景

反すう家畜の第一胃(ルーメン)は、そこに生息する微生物(ルーメン微生物)の機能によって、ブタやヒトなどの単胃動物が利用することのできない植物繊維を有効に利用して、高品質な乳肉の生産を通じ、人類に貴重な食料を供給している。ルーメン微生物の機能を向上させることによって、植物繊維や未利用資源を最大限に活用して効率的に高品質の畜産物を供給することが可能となる。

目的

ルーメン内は嫌気的で非常に特殊な環境であることから、ルーメン微生物は培養が難しいものが多い。また、反すう家畜は大型のものが多く、個体差も大きいことから、ルーメン微生物機能をより簡便に解析する手法を開発した。また同時に、ルーメン微生物の成育を制御する手法についても検討した。

成果

  • ルーメン微生物の機能について、反すう家畜を飼養することなく精密に解析することが可能となる人工ルーメン装置を開発し、市販に供している。
  • 従来は培養によって検出・同定まで数週間を要していたルーメン細菌の解析について、PCR法によって培養することなく数時間でルーメン細菌の検出・同定が行える技術を開発した。
  • 細菌間の情報伝達物質であるオートインディーサー2が、ルーメン細菌の生育に影響を及ぼしていることを明らかとした。
  • ルーメン細菌の増殖は窒素源としてアミノ酸を給与した方が大きく、また、アミノ酸の種類によっては増殖を阻害するものもあることを明らかとした。
  • 反すう家畜から発生するメタン及び水素ガスを、半導体ガスセンサーを用いて経時的に測定する装置を開発した。

図

研究の今後

これまでの成果を活用し、ルーメン微生物の繊維分解などの機能をより高めるために、新たな情報伝達物質の検索、強力な繊維分解能をもつ微生物の検索、ルーメン機能を強化するための飼料添加物の開発、ルーメン微生物態タンパクの質の改善などについて研究を続け、高品質で安心・安全な畜産物を効率的に生産する技術開発につなげていく。