農作業安全コラム

ロボット・自動化農機検査の紹介 その2

R2年10月 紺屋 秀之

 H31年3月の農作業安全コラムにて、革新工学センターが実施している「ロボット・自動化農機検査」の試験内容の1つである「人・障害物検出機能確認試験」についてご紹介させていただきました。今回はその他の試験内容の1つである「運転状態表示確認試験」についてご紹介します。

 前回の記事でも記載しましたが、現状、ロボット農機とは、ほ場内やほ場周辺から使用者が監視している下で、無人で自動運転させる農業機械をいいます。
 ロボット農機を離れた位置から監視する際は、ロボット農機の運転状態を使用者が把握できることが重要となります。具体的には、安全に自動走行中である、安全に停止中である、異常状態で停止中である、といったようなことを離れた位置から目視にて確認できる必要があるということになります。このことをロボット農機検査では、「運転状態表示確認試験」という試験で確認しています。まず、ロボット農機には状態表示灯というランプをロボット農機の周辺から見ることができる位置に装備してもらいます。そのランプの色や点灯、消灯の組み合わせで、運転状態を表すのですが、次の3つについて確認します。
① 自動運転状態:ロボット農機が正常に自動運転中である状態
② 自動運転可能状態:使用者が自動運転を指示するとロボット農機が自動運転を開始することができる状態
③ 自動運転不可状態:使用者が自動運転を指示してもロボット農機が自動運転を開始することができない状態

 上記の3つについて、適切に状態表示がなされ、使用者がロボット農機の周囲から容易に認識できることが確認できれば基準をクリアすることになります。

 ここで、どういったランプの色や点灯、消灯の組み合わせがそれぞれの状態を示すのかについてですが「運転状態表示確認試験」内では定めておらず、メーカーさんの任意の設定ということになっています。ただし、ロボット農機毎にバラバラの設定をしてしまうと、実際に使用する農家さんが混乱してしまいます。そこで(一社)日本農業機械工業会では、「ロボット農機の視覚的装置及び聴覚的装置のガイドライン」外部リンクを策定しており、その中で、ロボットトラクターの運転状態を示すランプの色や点灯、消灯の組み合わせを示していますので以下に簡単に紹介します。
・3色の灯火装置の色は桃色、緑、青とする
・自動走行が可能な状態にあるとき(桃色:点灯、緑:点灯、青:点灯)
・自動走行中のとき(桃色:消灯、緑:消灯、青:点灯)
・自動走行が停止又は終了した状態にあるとき(桃色:点灯、緑:消灯、青:消灯)

 以上、今回はロボット農機に関する「運転状態表示確認試験」についてご紹介させていただきましたが、今後、「ロボット・自動化農機検査」のその他の安全機能や装備に関する試験の内容につきましてもご紹介させていただければと思います。

 

キーワード:安全装置・対策/乗用トラクター
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