農作業安全コラム

ちょっとした心掛け

R2年11月 原田 泰弘

 夏、夜間の気温が25℃を超えたあたりでエアコンが壊れました。長雨の冷夏から一転、急遽訪れた猛暑にエアコン需要が急増して3週間待ち。熱帯夜のほとんどをエアコンなしで過ごす羽目になりました。あることが自然過ぎて意識することさえなかったモノ。それを最も必要なタイミングで失ってしまった狼狽と落胆。 それから睡眠不足。厳しい夏でした。後日、更新が完了したとたんにあの茹だるような暑さは終わりました。何とかの法則を懐かしんだ次第です。そして今、すっきりとした秋晴れの清々しさ、空の青さと紅葉とのコントラストが目に染みる季節となりました。 例年、この頃から春先まで、特に作業するときに心掛けていることがあるのですが、この場をお借りして紹介させていただきます。

 いつの頃からなのか思い出せませんが、季節の変わり目や(恐らく)低気圧の接近に伴って体のバランスの崩れのようなものを実感することが増えてきました。 それは、膝が痛むとか、腕が上げにくくなるといったことから、ひどく寝汗をかいたり、お腹が緩くなったり(少し尾篭な話で恐縮です)といったことまで様々です。 一つ一つは些細ともいえるこれらにつきましては、今のところ、上手に付き合う方法を手探りしている状態です。で、これらに伴って増えてくるのが、モノを落とす、どこかしらぶつける、つんのめる、いつの間にか小さく傷を負っているといったことです。 こちらについては、機能の低下を認めたくないという心情も働いて受け入れ難く、できるだけ防ぎたいものです。

 先ず、作業に入っている間は、関節類のストレッチを意識するようにしています。ストレッチといいましても朝の体操のように専門家によって体系化された本格的なものではなく、ちょっとほぐすかな、程度のノリです。 筆者の場合、下半身については、地面に軽くつま先を付けた状態で足首を回したり、アキレス腱を延ばしたり、膝を交互に捻ったりするほか、股割などをちょくちょくやります。膝裏を延ばすイメージを持てば歩き方が変わり、歩くだけでストレッチになる気がしています。 それから腰、肩、腕、そして首といったところですが、基本的に関節の可動域を広げるイメージで動かしています。これらを作業前というよりも、個別の作業の切り替えの際などに行います。何をやるかと考えることもなく、その時々の姿勢や違和感に応じて思い付くままですが、一度に全体的にストレッチしたときにはリフレッシュ感も出て、次の作業に移りやすいと感じています。 恐らく、無意識に行っていらっしゃる方も多いとは思いますが、筆者の場合は、割と意識してやっています。

 もう一つが、自分への言い聞かせです。言い聞かせといいましても、実際に声を出す訳ではありません。いえ、出していない心算です。例えば、寸法をあたる際に使用しない工具も掴んだまま測ろうとしたり、工具と一緒にボルトなどを掴んでいたりといったことがあります。急ぎたいという気持ちの所為かもしれません。モノを落としたり、ぶつけたりといったことだけでなく、怪我につながりかねませんので、言い聞かせです。(独り言ではなく、強く意識するということです。) 言い聞かせは主に2種類です。それは「はい。手から放して。」といった実際の行動を指示するものと、「中途半端は怪我の元。」という微妙に標語っぽい決まり文句です。言い聞かせを行い、その場からも離れて余計なものを手から放し、そのついでに結んで開いてをやりながら作業に戻る。そんな感じです。

 さて、この季節。みのりの秋や豊穣の秋など好ましく呼ばれることが多く、私もかなり好きな季節です。その反面、急に寒さが増したりすることもあり、妙に力が入ったり、どこか強張りを感じたりするのもこの季節です。紹介させていただいた筆者の方法はともかく、良さそうなことは積極的に実行する心構えが大切なのだと思います。 皆様なりの方法で構いません。良さそうなことは試し、良かったものは採用して続けてみる。そんな心掛けでこれからの寒い時期を乗り切っていきましょう。

 

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