農作業安全コラム

眠気をしっかり払いましょう

R2年8月 太田 薫平

 夏祭りの季節ですね。毎年夏祭りを楽しみにしている方も多いと思いますが、今年は残念なことに感染症対策で中止の場合も多いかと思います。さて、以前青森県を訪れた際に、地元の方から祭りに関する興味深いお話を聞きました。夏に青森県各地で行われるねぶた、ねぷたは、労働の妨げとなる眠気を払うために灯籠を川に流す「眠り流し」が起源となっているそうです。インターネットで調べてみると、他にも秋田の竿燈まつりや能代のねぶながしなど、眠り流しを起源に持つと言われている祭りは各地にあるようです。眠気を払うことは安全な農作業のためにも重要ですので、中止になってしまった祭りの代わりに、とはいきませんが、みなさまの眠気を払うお役に立てるよう、今回は眠気防止対策について簡単に書きたいと思います。

 眠気を防止するために十分な睡眠時間の確保が重要であることは言うまでもありませんが、他の対策として15~30分の短時間仮眠、カフェインの摂取等が有効と言われています(※1)。ただし、仮眠は長すぎると逆効果である点、カフェインの眠気抑制効果はすぐにはあらわれず、摂取後およそ15分以上経過してからあらわれる点に注意が必要です。また、30年前のものですが、農繁期中の寝不足の主たる原因として会議、集会が挙げられているアンケート調査結果(※2)もありますので、会議、集会を主催する立場の方におかれましては、参加者への負担を考慮し、場合によっては時間短縮、回数削減、時期の調整などに配慮いただけると幸いです。

 眠り流しの存在からわかるように、眠気が厄介なものという認識は今も昔も変わらないようです。人は眠気には勝てないと思いますので、気合い、根性、やる気の精神論で立ち向かうのではなく、信頼できる情報を参考にしながら、眠気と上手に付き合っていくための個々人に合った方法を見つけ、実施していきましょう。

※1: 公益財団法人 高速道路調査会 道路・交通工学研究部会,2015.高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究,
https://www.express-highway.or.jp/info/document/rpt_t_006.pdf
※2: 伊藤紀克,1990.トラクター事故に対する農民の意識―トラクターオペレータのアンケート調査より―.日本農業医学会雑誌,39(2),90-95.

 

キーワード:安全装置・対策
サブキーワード:他業種