農作業安全コラム

ユニバーサルデザインと農業

H14年9月 菊池 豊

ユニバーサルデザインとは

 最近、福祉分野で「バリアフリー」、「ユニバーサルデザイン」、といった言葉を耳にすることがあります。まず、「バリアフリー」とは福祉の分野で「身体障害者等社会的弱者に対して日常生活等の障害がないデザインや使用方法」のことをいいます。

 「ユニバーサルデザイン」とは、それをさらに進めて、「あらゆる年齢、背格好、能力の人が利用可能なように、建築空間やその構成要素の対応可能な範囲をできる限り拡張するデザイン的な試みである。」と言われています。

 具体例として、「駅や病院の入り口へスロープ、手すりを設置し、足腰の筋力が衰えた人でも通行しやすくする。」、「目が見えにくい状態でも触っただけで対象物が判別できるように、シャンプー、リンス容器の側面へ目印になる突起を設置する。」等があります。ユニバーサルデザインの原則「ユニバーサルデザイン」の7原則を以下の1~7に示します。農業分野への適用例として、図1は、機械の整備ヶ所を機械にマジックインキで明示しています(原則3、4)。図2は、通路幅を拡大したり、段差を解消したりしています(原則1、2、5)。

 これらを参考に、新しい目で作業現場等を見なおしてみてはいかがでしょうか。

  1. 誰もが公平に使用できること
  2. 使う上での自由度が高いこと
  3. 簡単で直感的に分る使用方法となっていること
  4. 必要な情報がすぐに理解できること
  5. うっかりミスや危険につながらないデザインであること
  6. 無理な姿勢や強い力なしに楽に使用できること
  7. 接近して使えるような寸法、空間になっていること

図1
図1 グリスアップ位置を明示し注油忘れ防止

図2
図2 出入しやすいようにハウスの出入口拡大(高さ、幅とも2m以上)、敷居除去

 

キーワード:安全装置・対策/運搬・移動/点検・整備・清掃/野菜
サブキーワード:農業経営体/他業種