農作業安全コラム

自分の安全を確保する -危険予測とヒヤリ体験を活かす

H15年9月 石川 文武

 そろそろ秋の収穫シーズンにはいります。この季節は農作業事故の2大ピークの一つでもあります。丹精込めて育て上げた作物の収穫中に事故を起し、医療費、機械の修理等に支出をし、さらに適期作業を逃したことによる品質低下等があっては大変です。無駄な出費を抑え、より多くの農産物収入を得る。そのためには、「安全第一」で行きましょう。

 我々の周囲には危ない事象が氾濫しています。それらの大半については、過去の経験から危険に遭遇することを避けるよう行動することが自然に身についています。しかし、ときには疲労などによる集中力の低下から、避けられるものが避けられなかったり、誤判断をしてしまったりで、事故になってしまうことがあります。世の中には基本的に「安全は存在しません」。危険の芽を摘むことによって安全を確保しているのです。

 では「安全を確保するには」どうすればいいでしょう。その一つは、作業に潜む危険の芽を予測し、その危険の芽をどのようにして摘み取るかを考え、実行することです。作業開始前に①あそこにこんな危険があるかも、②それを避けるためにはどう行動する、③それでも危険に遭遇したら被害を最小にするための行動を決める。これを一人作業でも組作業でも習慣つけることです。二つめは、日常体験している「ヒヤリハット」を活用することです。ヒヤリアンケートの結果では、回答者の60%が「ヒヤリ体験をしていない」といいますが、危険意識の薄い人は、無事にすんだ「ちょっと危なかったこと」は記憶に残らないようです。トラクタを片ブレーキのまま走らせた、納屋の階段を踏みはずしそうになった、共同作業者の位置を確認せずにコンバインのエンジンを始動した、等、一歩間違えれば事故になっています。日常の「ちょっと危なかったこと=なぜ事故にならずにすんだか」を自己分析・活用し、かつ、危機管理意識をもって農作業に取組んでください。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/乗用トラクター/コンバイン(自脱型/普通型)/収穫・調製
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