農作業安全コラム

「明日はわが身」で!

H16年3月 石川 文武

 平成13年の農作業事故死亡件数は前年に比べ10件減少しました。14年も10件減少、15年も、、、と続いて行けば、平成18年には350件以下になるのではないか、いや、なってほしい、と希望を持っています。12年の406件と比較して、50件の減少を金額ベースに置換えれば70億円前後の損失回避になると推定できます。死亡件数が減少するということは、同じ原因で発生している負傷事故も減少するわけですから、命の損失、医療費の支出軽減等から前記のような損失回避額となるわけです。その他に精神的な損失回避は金額には換算できないので、総損失回避額はもっと大きくなります。一方、このように事故を減少させるために投入される金額(安全装備の充実、安全化の研究開発費、等)は5年間で20億円程度でしょうから、差引き5年間で50億円のプラスとなります。

 この「夢」と思われるかもしれない話を、実現させるには農業現場の方だけでなく関係する行政、企業など全員が「その気になる」ことが大切です。そのためには、標題にあるとおり、一つの事故を他山の石として、明日はわが身にふりかかるかもしれない、それを回避するためにはどう行動すればよいか、真剣に考えてほしいのです。私たちが車で移動している時に、事故直後の現場に遭遇することがあります。原因側であれ、被害側であれ、あと数分、数秒早くそこにいたら事故関係者になっていた可能性が有る、という風に考えてほしいのです。車間距離を詰めていたことが原因であれば、自分の反射能力にあわせた車間距離を保つようにするとか、一時停止違反が原因の場合には停止線の手前で一旦停車誤、安全確認しながらゆっくり進んで再確認するとか、事故を起さない、事故に巻込まれない、といった努力を習慣つけることで身の回りの安全が高まるのです。いつの日か農作業事故がゼロになることを期待して。

 

キーワード:事故/安全装置・対策
サブキーワード:全国/農業経営体/他業種