農作業安全コラム

特別研究チーム(安全)の設置

H18年6月 森本 國夫

 この4月から生研センター(現:革新工学センター)に、重要な研究問題に取り組むための所内横断的な組織として、3つの特別研究チーム(ドリフト、ロボット、安全)が設置されました。安全を研究するチームが設置された背景には、農作業事故の実態があることは言うまでもありません。現在、安全チームで取り組んでいるのは、トラクタが事故に結びつく危険な状態にあることを事前に運転者に知らせる技術の開発、インターネットを通じて農業者が日頃行っている農作業に潜む危険性を学習できるeラーニングシステムの開発、生研センター(現:革新工学センター)が行ってきた検査・安全鑑定の事故防止効果の検証を通じた農業機械安全装備の評価や見直しなどです。立ち上がったばかりで、チーム運営は手探りの状態ですが、気を引き締めて取り組む所存です。

 3番目の課題は17年度に開始していたもので、(社)日本農業機械化協会と全国農業機械士協議会のご協力により、アンケート調査や事故の現地調査などを行っています。その成果の一つとして、検査・安全鑑定でトラクタへの装備を義務付けている安全キャブ・フレーム(ROPS)の転落・転倒事故発生時の救命効果を図に示します。農業機械による死亡事故で最も多いのが、トラクタの転落・転倒によるものです。安全キャブ・フレームの装着率は現在40%台と推定されますが、装着率の向上により死亡事故の減少が期待できることをこのデータは明確に示しています。

図

 

キーワード:事故/安全装置・対策/研究/乗用トラクター
サブキーワード:農業経営体/他業種