農作業安全コラム

「慣れる」ということ

H21年2月 積 栄

 正月早々、ちょっとしたことで指を怪我してしまい、しばらく固定することになってしまいました。動かないように指の付け根から包帯でぐるぐる巻きです。

 利き手側ではなかったので、まだよかったのですが、職場では資料の作成が多い時期でもあり、パソコンのタイピングなど、当初は色々と不便を感じていました。ところが2週間もすると、何となくこの状態に慣れてしまい、はじめは難儀だったことも、今では怪我をさほど意識せずに行えるようになってきています。人間の適応能力というものに、我ながら感心している次第です。

 要は「慣れる」能力の大切さだと思いますが、一方で皆さんもご承知のとおり、「慣れ」が油断となり、事故につながることは多いと言われています。本来は常に十分な注意を払わなければばらない農業機械の取扱いも、長く使っていると「慣れ」が勝ち、つい注意が散漫になってしまうことがあります。「慣れた頃が最も危ない」などとよく言われますが、「慣れているからこそ注意を怠らない」という人間側の安全意識と共に、こういった悪い意味での「慣れ」の存在を踏まえた機械側の技術対策も、また重要だと感じます。

 自分も怪我した指でつい無理をしてしまわないように注意しているつもりですが、それ以前にもう怪我をしないよう、気をつけたいと思います。

 

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