農作業安全コラム

刈払機等の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針の改正

H21年8月 積 栄

 暑い時期を迎えました。新聞記事を見ていると、今年も既に農作業中の熱中症による死亡事故が複数報道されています。特に高齢の方は注意する必要があるとされており、農作業に当たっては十分な対策を行ってください。平成14年8月コラムに、熱中症対策のヒントが書かれていますので、ご一読いただければと思います。

 さて、平成19年7月コラムで、振動工具の使用に関して、厚生労働省の「振動障害予防対策指針」の見直しが検討されていることを紹介しましたが、7月10日付で、検討結果を踏まえて新たな対策指針が通達されました。これによれば、刈払機など振動工具による作業は、これまでの一律1日2時間以下とする扱いから、決められた条件を満たせば、使用する機械の振動値に応じて作業可能時間が決められる枠組みとなりました。簡単に言えば、使用する工具の振動が低い程、振動による障害を回避しつつ、より長い時間使える道が開かれたということになります。詳細については、厚生労働省のホームページ等をご参照ください。生研センター(現:革新工学センター)でもメーカーと共同で低振動型刈払機を開発、実用化しており、今年から市販化される予定です。先月、宮城県で行われた現地セミナーで開発機を実演した際も、参加者の皆さんから「確かに振動が少ない」と上々の評価をいただきました(この開発機については、次回の本コラムで詳しくご紹介します)。今回の指針改正も踏まえ、刈払機等の振動工具の購入時には今まで以上に振動の問題が意識され、また機械が適正に使用されることを願う次第です。

 

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