農作業安全コラム

安全への意識

H22年2月 塚本 茂善

 先月のコラムの中で、乗用型トラクターの転落・転倒による死亡事故防止への有効な対策として安全キャブ・フレームをご紹介いたしました。その他の機種においても転落・転倒による死亡事故は発生しており、農業機械作業による死亡事故減少に向けては、その対策が重要な鍵を握っています。

 対策方法としては、転落・転倒を未然に防ぐ方法と、転落・転倒時に運転者を防護する方法の2通りが考えられるわけですが、現在、生研センター(現:革新工学センター)では、前者については路肩判別技術(センサにより路肩を判別することで、未然に転落・転倒を防ぐ技術)に関する研究を、また、後者については転倒時に運転者をどのように防護するかについて研究を行っており、少しでも安全な機械が世の中に普及するよう取り組んでいるところです。

 具体的な対策方法については、メーカーとも意見交換を行いながら進めていくことになるわけですが、いずれの方法をとるにせよ、今後、新たな安全対策を機械に施すためには、やはりコストがかかることになりますので、メーカーの努力だけでなく、ユーザーが安全にかかるコストをどれだけ受け入れられるかが大変重要になってきます。安全に対するユーザーの意識とメーカーの意識とが互いに高まることで、農業機械の安全性をいっそう向上させていくことができると思います。

 命より大切なものはなく、その命を守るために皆様と一緒に少しずつでも前進していきたいと思いますので、今後とも皆様のご支援、ご協力をお願いします。

 

キーワード:安全装置・対策/研究/乗用トラクター/
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