新たに開発したトラクタとコンバインの安全装置を展示実演しました
H26年9月 志藤 博克
去る7月10日に千葉市で開催された全国農業機械士協議会の大会において、生研センター(現:革新工学センター)の緊プロ事業で農機メーカーと共同開発した、乗用トラクタの片ブレーキ防止装置 と自脱コンバインの手こぎ部の緊急即時停止装置を展示実演しました。当日は台風の接近による強い風が吹き付けるあいにくの天候でしたが、大会は140名を超える参加者が集まり、大変な盛会となりました。
片ブレーキ防止装置の展示では、実際にトラクタに乗り込んで操作感を確かめた方が多数おられましたし、緊急即時停止装置の実演では、緊急停止ボタンを押すと同時にフィードチェーンが止まり、こぎ胴カバーが開く様子に感嘆の声が上がりました。
「片ブレーキ防止装置は、今使ってるトラクタには付かないのか?」という質問を多数頂き、新車に限られることについて、お叱りを受ける場面もありましたが、それも本装置への期待の表れと受け止めております。ちなみに、本装置を既販機に装着するには、本装置の構造や寸法をそれぞれのトラクタに合わせたものを新たに作り、専門的な技術を持つ工場で取り付けるための改造を施す必要があり、コスト面や信頼性の面で現実には難しい状況です。正直、現時点では、これが精一杯です。
開発した安全装置は、事故に遭う確率を下げたり、負傷度合いを軽くしたりする効果が期待されますが、事故そのものをなくせる訳ではありません。より安全な農作業を目指して、まだまだ、これからも進化しなければなりません。農業機械士の皆様に限らず、安全な機械の開発に向けて、辛口のご意見を頂ければ幸いです。
動画1 乗用トラクタの片ブレーキ防止装置
動画2 自脱コンバインの手こぎ部の緊急即時停止装置
※動画はいずれも試作段階のものです。