農作業安全コラム

鎌は順手で

H27年4月 堀尾 光広

 季節外れな話題で恐縮です。
 稲刈り、といってもバインダやコンバインを使った機械収穫ではなく、鎌を使って手刈りをするとき、右利きの人であれば右手に鎌を持ち、左手で稲株をつかんで刈るものだと思います。稲株は地面から上に葉を広げていますが、それをかき分けながら株元をつかもうとするとき、左手はどうなっているでしょうか。試しに何も考えず動作をしてみると、多くの人は親指が下を向く形になるのではないかと思います。これを逆手、親指が上向きになるつかみ方を順手と呼ぶことにしましょう。逆手の場合、親指が立っていると鎌で切るおそれがあるので、順手に持つほうが安全だと言う方がいます。それはそうだろうと思っていたのですが、持ちやすいからという理由で逆手を勧める方もいるようです。たしかに、3株、4株と続けて刈る場合に順手では持ちにくく、また逆手に比べより深く腰を曲げて作業するというイメージもあります。

 作業のし易さかを選ぶか、より安全を求めるか、「作業のし易さ」を「手間の少なさ」などの言葉に言い換えると、このような選択は農作業のあらゆる場面で出くわすのではないかと思います。たとえばコンバインの搬送チェーンに詰まったわら、刈払機の刃にからまった草を取り除くとき、エンジンを切らずに作業をしようとしてケガをしてしまったということがよくあります。これなどはひと手間を惜しんだり、作業しやすいからと考えたことが原因でしょう。あるいは、何も考えずについうっかり、だったのかもしれません。

 学生のときの農場実習で左手人差し指をざっくりとやってしまった筆者としては、どんな場面でも、鎌は順手で、を合言葉にお勧めします。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/コンバイン(自脱型/普通型)/収穫/稲・麦・豆
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