農作業安全コラム

熱中症対策シンポジウムに参加しました

H27年7月 松本 将大

 先日の6/18(木)~6/20(土)に開催された「平成27年度熱中症対策シンポジウム」に参加してまいりました。シンポジウムでは熱中症の発生メカニズムや熱中症予防対策・発症時の処置等といった情報が盛りだくさんな講演が行われました。

 講演の先生方が口を揃えて言っておられたのが、熱中症対策における、こまめな休憩と水分・塩分補給の重要性についてでした。作業等で上昇した体温は身体からの放射や発汗等により、適正な体温を保つように調節が行われておりますが、体内の水分や塩分不足によってこれらの機能が低下してしまいます。常日頃から熱中症に気をつけている人の中には「なんだ、またその話か」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これだけ周知されていることながら、農作業における実際の熱中症の災害事例を見てみると、被災者は休憩・給水を適宜取っているにも関わらず発症してしまった例も見られます。この原因の1つとして、休憩中の給水量が作業中に排出された水分量に達していないことが挙げられます。講演では、7名の被験者の内5名が作業後の給水量が不足していたといった実験データが紹介されていました。

 これからの季節、気温は暑くなる一方だと予測されます。また、比較的涼しいと思われがちな午前中ですが、農作業においては午前中にも熱中症が多発しています。さらに、就業人口あたりの熱中症死亡事故発生件数が建設業と比較して数倍であることからも、農作業は熱中症リスクが大きく、危険であることがわかります。
 熱中症発症時の処置については休憩や補給の他に衣服をゆるめ足を高くして寝かせるなどの処置が有効であると言われています。また、講演では症状が重症化してしまった際の処置についても紹介がありましたが、農作業現場での実施が困難であるため農作業においては予防がより一層重要です。
 安全に作業を終えるために、すでにご存じの方も今一度気を引き締め直し、熱中症予防をお願いいたします。作業はできるだけ複数人で相互に観察しながら行いましょう。また、日陰等の休憩場所の確保と、疲労やのどの渇きを感じる前に、こまめな休憩、水分補給をお願いいたします。特に水分・塩分補給については、のどの渇きが癒えても多めにとるように、体重が減った分と同じくらいを目安に心がけると、より安全性が増すと思われます。

 

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