農作業安全コラム

13道県との農作業事故詳細調査・分析の取り組み

H28年4月 志藤 博克

 生研センターは、今月から新装開店致しました。農業技術革新工学研究センターと名称も新たに、農作業安全のための研究開発ならびにロボットやICT等の先端技術を積極的に取り入れた農業機械の開発研究に、今まで以上に力を入れて参ります。引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに、今後の成果にご期待下さい。

 さて、私たちは平成23年度から13の道県のご協力を得ながら、農作業事故の詳細調査と分析に取り組んでおります。先月、協力をいただいている道県のご担当だけでなく、興味をお持ちの県からもご参加頂き、恒例の検討会議を開催しました。5回目を数える今回も熱を帯びた意見交換が活発になされました。私たちの分析結果を実際に道県の安全啓発に活かして頂けるようにもなり、「他道県の動向も大いに参考になり、悩みどころも共有できる」と好評を博しています。各道県の担当者の任期は2~3年、早ければ1年で交代してしまうので、当初はこの取り組みが続くかどうか懸念されましたが、後任の方にもしっかりと引き継いで頂いているお陰で、トーンダウンするどころか、益々熱気がこもった会議に成長しています。

 この取り組みで得られた事故情報はデータベース化し、教材としても利用できるようにしたいと考えています。分析結果は、各道県の安全啓発に役立てるだけでなく、機械に関する部分については、農機メーカーとも共有し、より安全な農機開発に役立てて頂くとともに、安全鑑定の基準改正に反映させるなど、事故実態に即した取り組みにも活かしたいと考えています。また、ほ場内作業だけでなく、畦畔の草刈などのほ場外の管理作業を安全で効率的に行うことにも参考にして頂けるようになります。

 今後は仲間を増やし、範囲も広げて質・量ともに充実した調査・分析を展開し、ゆくゆくは国を挙げての取り組みに位置付けたいと、密かな野望を抱いています。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/研究
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