農作業安全コラム

「たられば」では遅い

H29年2月 臼井 善彦

 先日、コロンビア号空中分解事故に関するテレビ番組を見ました。この事故は、2003年にアメリカのスペースシャトル「コロンビア号」が宇宙での任務を終え、地球に帰還する際に空中分解し、7名の宇宙飛行士が犠牲になった事故です。

 事故原因は、発射後まもなく外部燃料タンクから剥落した断熱材がシャトル左翼部パネルに衝突して損傷が生じ、地球帰還のため大気圏に突入した際、その損傷部から超高温の空気が流入したためです。NASAの上層部は、断熱材の剥落について打ち上げ時の映像で知っていたのですが、以前にも断熱材の剥落は頻繁にあったことや、スポンジの様な軟らかい断熱材がシャトルの強化炭素複合材製のパネルを損傷させることはないと考えていたため、あまり問題視されませんでした。このため、技術陣からのパネル損傷の有無を確認するための詳細な画像分析の要求にも真面目に取り合おうとしませんでした。しかし、断熱材衝突時の詳細画像を解析して衝突時における速度、角度等を割り出して行った事故後の再現実験では、断熱材がパネルを貫通することが明らかとなりました。

 また、事故調査委員会は、NASAが直ちに行動していれば、リスクは高いながらも救出策を講じることは可能であったと断定しました。まさに安全を軽視した結果起こった「たられば」な話です。

 翻って、農作業安全にも同じ事が言えるのではないでしょうか。普段からの「慣れ」や「思い込み」が思わぬ事故に繋がる可能性があります。特に、人命に関わる「たられば」は取り返しがつきません。私自身、この番組を見て反省も含め、色々と考えさせられましたが皆さんも日常の農作業に潜む危険について一度考えてみてはいかがでしょうか。


 

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