農作業安全コラム

速度を意識した運転をしていますか?

H29年4月 清水 一史

 読者の皆さんの多くは、農作業中には軽トラ、トラクタやコンバインなど、また、普段の買い物やドライブに乗用車を運転されると思います。
 走行する道路には、制限速度が60、50、40km/hなどと定められていますが、これは市街地・非市街地の違い、中央分離帯の有無、歩行者交通量の多少、車線数などにより決められています。特に一般道路のうち、主として地域住民の日常生活に利用される生活道路(比較的道幅の狭いことが多い)では、制限速度は原則30km/hとなっています。

 しばしば、制限速度を超過して走行している車を見かけますが、今回は、少し視点を変えて、道路で自動車等を運転中に、不運にも歩行者や自転車利用者等をはねてしまった場合にどうなるかということを説明したいと思います。
 この場合に速度が速ければ速いほど、事故による歩行者等の致死率(※致死率(%)=死者数/死傷者数×100)が高くなるということはお分かりになると思いますが、速度毎に具体的にどうなのかといった事までは、分からないのではないでしょうか。

 歩行者と車両が関連する衝突事故の調査結果によると、速度30km/hまでは、走行する車両にはねられた歩行者の致死率は約10%と、90%程度の方は生存するものの、速度が40km/h、速度50km/hと速くなるにつれ、致死率もそれぞれ40%以上、80%以上と上昇し、速度が60km/hを超えると致死率がほぼ100%になることが分かっています。特に、肉体的な衰えにより、高齢の歩行者は若年歩行者と比較して、重傷又は死亡する可能性が高いといわれています。

 私は、この速度30km/hを過ぎると致死率が急上昇するということを知ってからは、以前よりも心のブレーキがかかるようになり、特に道路の制限速度、走行速度や周囲の状況に気を配って運転するようになりました。
 読者の皆さんも、速度や周囲を意識した安全運転を心がけていただければと思います。


 

キーワード:事故/安全装置・対策/乗用トラクター/ コンバイン(自脱型/普通型)/その他の機械
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