農作業安全コラム

ロボット・自動化農機検査の紹介

H31年3月 紺屋秀之

 H30年8月の農作業安全コラムにて、革新工学センターにおける新たな検査制度について、「安全性検査」が始まりましたと紹介をさせていただきました。今回は「安全性検査」の一つである「ロボット・自動化農機検査」の対象であるロボット農機に関する試験内容の一部をご紹介させていただきます。

 現状、ロボット農機とは、ほ場内やほ場周辺から監視している下で、無人で自動運転させる農業機械をいいますが、安全上、ロボット農機が人や障害物にぶつからない機能が必要です。そこでロボット農機に関する試験の一つとして「人・障害物検出機能確認試験」を設定しました。具体的には、ロボット農機の前後方向に設置した障害物にロボット農機を前後進させて、第1段階としてロボット農機が人や障害物にある程度接近したら警告を発するかどうか、 第2段階として更に接近したら接触する前に自動で停止するかどうか、ということを確認するというものです。それぞれ、警告を発し、接触前に停止することができれば基準をクリアしたということになります。なお、これとは別に、静止している状態のロボット農機の間近に試験障害物を設置し、自動走行開始操作をしてもロボット農機が動き出さないかどうかを確認するという追加の試験も設定しており、動き出さないという基準をクリアできれば更に安全性の高い人・障害物検出機能を有しているという評価となります。

 ここで、試験をする際の障害物について少し触れます。人間を対象とすると試験中に万が一ぶつかったら危ないという安全上の理由や、いつでも同じ条件で試験をする必要があるという理由から統一した障害物が必要となります。実はロボット農機の安全性に関する国際的な規格が2018年に発行され、その中に人・障害物検出機能確認試験に用いる障害物について形や大きさ、色などが決められましたので、我々もその規格に従った障害物を用いることにしております。

 以上、今回はロボット農機に関する人・障害物検出機能確認試験についてご紹介させていただきましたが、今後、「ロボット・自動化農機検査」のその他の安全機能や装備に関する試験の内容につきましてもご紹介させていただければと思います。

 

キーワード:安全装置・対策/乗用トラクター
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