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 T 農作業事故結果報告書(農林水産省生産局)に関する用語 
 

1.事故の状況
(1)農業機械作業に係る事故:
 農業機械を使用しての作業中(農業生産資材の調達・運搬、農機具の修理・整備、市場までの出荷に伴う作業等を含む。)に発生した事故をいいます。
道路上での事故(機械を使用し、道路走行中に発生した事故)
 他車との事故  道路走行中に、他車への追突、他車から追突された場合をいいます。
 単独事故で、機械の転落・転倒  道路走行中に、他車とは無関係に機械が転落・転倒した場合をいいます。
 単独事故で、機械から人の転落  道路走行中に、他車とは無関係に機械から人が転落した場合をいいます。
 単独事故で、機械と物体との衝突  道路走行中に、他車とは無関係に機械が電柱、ガードレール等の物体(道路走行中の自動車等は除く)に衝突した場合をいいます。
道路上以外での事故(機械を使用し、ほ場等において発生した事故)
 機械の転落・転倒  ほ場作業中等に、機械とともに転落・転倒した場合をいいます。
 機械から人の転落・転倒  ほ場作業中等に、機械から人が転倒し、発生した事故をいいます。
 ひかれる  走行中の機械に体の一部をひかれた場合等をいいます。
 機械自体に巻き込まれる  機械の回転部等に体の一部や衣服等が巻き込まれた場合をいいます。
 機械と他の物体との間に挟まれる  機械と他の物体との間に挟まれて発生した事故をいいます。
 機械の刃部によるもの  機械の刃部により発生した事故をいいます。
 飛来物によるもの  刈払機作業中、小石等が回転刃によって飛ばされたり、回転刃が破損、飛散して、人体に当たった場合等をいいます。
 火・熱によるもの  燃料供給中の火災又はマフラーヘの接触等をいいます。

(2)農業用施設作業に係る事故:
 農業用施設内での酸素欠乏、有毒ガスによる中毒、ビニールやガラスの張り替え時の墜落、施設の倒・破壊等のように施設作業に係る事故をいいます。
 ただし、農業施設作業中の事故であっても、事故の原因が農業機械に係る場合は農業機械作業に係る事故とし、その機械名で区分します。

(3)農業機械・施設以外の作業に係る事故:
 鎌、鍬等の小農具による事故、家畜による事故、果樹やほ場等からの墜落・転落等「農業機械作業」及び「農業用施設作業」以外で発生した事故をいいます。
 なお、道路上での事故については、農作業を行うために、道路を歩いてほ場へ行く途中に自動車にはねられた事故、道路をバイク運転中に転倒した事故等をいいます。

2.機械等の名称
 乗用型又は歩行型トラクターに附属機械を装着していた際の事故は、原則として次により区分します。
(1)ロータリー又はプラウを装着していた場合は、すべて乗用型又は歩行型トラクターに区分します。
(2)トレーラー、動力防除機、畑作物用収穫機等を装着していた場合で、これらの附属作業機自体で負傷した場合は、それぞれの作業機に区分します。
 なお、牧草収穫機は、畑作物収穫機に含めないものとします。
(3)その他の附属作業機(例えばモアー、テッダー等)自体で負傷した場合は、「その他」に区分します。

3.場 所
 農作業事故が発生した場所としますが、例えば道路から田に転落した場合には「道路」とします。 また、田、普通畑等への進入路は、田、普通畑等に含めます。

 U 危険事象に関する用語 
 

1.キックバック
 刈払機の作業中に、木のくいなどの固い物に刈刃が当たり、その反動で刃が自分の方に飛んでくる危険事象をいいます。同様に、チェーンソー作業中に、回転中のソーチェーンが木材や障害物に当たって跳ね上げられる危険現象もあります。刈払機では刈刃の右側、チェーンソーではガイドバーの先端部が固いものに当たることで引き起こされます。
 予防するためには、刈払機では往復刈をせず、常に刈刃の左側で刈るようにします。チェーンソーでも同様に、先端部上側だけを使って切断作業を行わないようにします。もちろん、作業開始前の刃の点検も重要です。

2.ジャックナイフ現象
 けん引式の作業機やトレーラー等(被けん引車)をけん引するトラクターが急ブレーキや急ハンドルをした際、被けん引車が慣性でそのまま進もうとし、トラクターと被けん引車が連結部で「く」の字に折れ曲がり、操縦不能になる危険事象です。
 乗用トラクターだけではなく、歩行用トラクターでのトレーラーけん引時にも注意が必要です。

3.ダッシング
 歩行用トラクタ(耕うん機)の作業において、土が固いほ場では、ロータリー爪がほ場に刺さり切らず、ロータリーの回転で機体が急に前方へ押し出されることがあり、この現象をダッシングといいます。
 予防するためには、無理に深く耕うんせず、浅く数回に分けて耕すようにし、速度段やスロットルも低くします。

 V 安全対策・安全設計の考え方に関する用語 
 

1.再発防止
 問題の起きた原因を調べ、それを取り除いて、同じ問題が起きないようにして、安全を実現する手法を言います。
 例えば、本サイトの事故事例検索等を活用して、ご自身の農作業現場では同じ事故を起こさないようにして、安全を実現することができます。

2.未然防止
 まだ起きていない問題の発生を予測し、それが起きないように未然に防止して、安全を実現する手法を言います。
 例えば、本サイトの対話型農作業安全研修ツール等を活用して、ご自身の農作業現場でも起こり得る事故を予測し、未然に防止できる策を検討・実施することで、事故を引き起こさず、安全を実現することができます。

3.フェイルセーフ
 機器の故障や作業者の操作ミスなど、エラーが発生した際にも、なるべく安全な状態に移行するような機器設計のことをいいます。
 例えば農業機械では、歩行用トラクタの挟圧防止装置(作業者が、後進する機体と壁や柱の間に挟まれた際、自動的に原動機を停止、または走行部への動力を遮断する装置)があります。お手持ちの機械の安全装置を確認してみましょう。

4.フールプルーフ
 取扱いを誤っても危険が生じない、または、そもそも誤った操作や取扱いができないような構造や仕組みとする機器設計のこといいます。
 例えば農業機械では、動力源を始動・接続した際に、作用部が作動しないようにする安全装置(クラッチを切らないとエンジンが始動しないなど)、回転部のカバーを開けると回転が停止する(インターロック)機構があります。機械を選定する場合には、安全装置にも着目して選びましょう。

5.ヒヤリハット
 事故には至らずとも、もう少しでケガをするところで、ヒヤリとした、ハッとした状況のことを言います。1件の重大災害の発生には、29回の軽傷を伴う災害、300回の無傷害事故があるとも指摘されています(ハインリッヒの法則)。この「ヒヤリとした」「ハッとした」状況を報告し合うことは、災害防止の第一歩となる、危険有害要因を把握する方法として効果的です。
 農業現場においても、ヒヤリハットを共有し、対策を検討・実施することが、安全な作業現場を作ることに繋がります。

6.リスクアセスメント
 作業上の潜在的な危険性、有害性を見つけ出し、危害の大きさと発生確率からこれらの組み合わせであるリスクを見積もり、対策の必要性を評価するまでの一連の手順のことをいいます。評価に応じて、リスクを除去・低下するための対策を講ずるまでをリスクマネジメントといい、このサイクルを繰り返すことが、安全の実現に繋がります。
 潜在的な危険性や有害性とはつまり、実際には(まだ)災害を発生させていなくても、放置していると災害に繋がるだろうと予見されるものです。これを見つけ出すためには、5.で紹介したヒヤリハットの共有や、危険への気付き、適切な安全知識の習得が重要です。
 いつもの現場、いつもの作業にも、潜在的な危険性、有害性が隠れています。改めて、見直してみましょう。

 W その他 
 

1.後遺障害の損失(「障害等級表」から抜粋)
  逸失利益(事故に遭わなければ得られたであろう様々な利益)の内一つに「後遺障害」による収入減を定めています。
   ○第1級(労働能力喪失率100%):両目を失明 など
   ○第4級(同92%):両耳の聴力を完全に喪失 など
   ○第7級(同56%):片方の目が失明。もう片方も0.6以下に低下 など
   ○第12級(同14%):外貌に醜状を残すもの など
   ○第14級(同5%):片方の耳が1メートル以上では小声で聞き取れない など

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