【概要・特徴】
 ロックウール養液栽培システムに付属して設置し、栽培時に排出される排液をリサイクル利用することにより、系外に廃棄する液を減らし、環境への負荷の軽減を図ることができる。本システム(図1)は、以下の3つの主要素から構成されているのが特徴である。
養液ろ過:栽培槽から戻ってきた排液には、夾雑物が混ざり、養液リサイクルの際の殺菌効果を低減させる。また、夾雑物の種類によっては、養液中に蓄積し、作物に対する生育阻害を起こす可能性がある。そこで、本システムでは、養液のろ過処理装置として、低コストで高性能なろ過能力をもつ開放・浸漬型ろ過タンクを設置した。
養液殺菌:リサイクル栽培で懸念される栽培装置全体への病気の蔓延を防止するため、養液栽培用紫外線殺菌装置を用いた殺菌方法を採用してる(図2)。EC値が高く、紫外線の透過率が低い栽培排液に対し、まんべんなく殺菌線(253.7nm) が当たるように、水層厚は通常の流水型殺菌装置よりも薄くなっている。また、手動式ワイパーを取り付け、ジャケットの汚れによる透過率の低下を防ぐことができる。
養液成分修正:3〜6台の定量ポンプを用いて、単肥や複合肥料を打ち込み、養液の肥料バランスの崩れにも対応できる。また、オプションとして、タッチパネルシーケンサを用いた養液CRコントローラ(図3)を導入すれば、変更したい肥料の打ち込みをパーセント(%)で上下させることができる。
 
【導入効果】
本システムの導入により、養液栽培における廃棄液量を栽培システムによって1/3〜1/10程度に減らすことができ、環境に対する負荷を軽減させることができる。
肥料を打ち込む定量ポンプを増やして用いることにより、肥料バランスの崩れへの対応のみならず、作物の栽培ステージに応じた処方の変更にも迅速に対応することができる。
 
【導入上の留意点】

使用する原水によっては、植物に利用されずに蓄積する物質、すなわち、ClやNa等が多く含まれていることがあり、その場合は系外へ廃棄する液の割合が高くなることもある。

概算経費については、当社ロックウール栽培システムとの同時導入についての見積もりであり、システムが異なる場合、または既存システムに組み込む場合はその次第ではない(表1)。
 
【実証事例】
 山梨県中巨摩郡でロックウール栽培システムに導入、実証試験を行っている。その結果、農家からは、循環してもフザリウムなどの土壌伝染性病害が発生せず、また、肥料の有効利用にもつながっているとの声をいただいている。
 
【開発企業・問い合わせ先】
カネコ種苗株式会社 開発部 白神 栄治
〒372-0001 伊勢崎市波志江町上峰岸3244
TEL:0270-24-7935
FAX:0270-24-3409
E-mail:kaihatu@kanekoseeds.co.jp

 

 
 
 
 

 

 

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