キンモンホソガ Phyllonorycter ringoniella (Matsumura)
チョウ目(Lepidoptera), ホソガ科(Gracillariidae)


形態・生態

加害部位
加害形態 幼虫、展開を終わった成葉のみ加害
発生回数・時期 年3-7回、北海道3回〜九州6-7回
越冬形態 蛹(落葉中)
形態 成虫開張 6-11mm, 幼虫体長 5-7 mm、蛹体長 3-5 mm、卵長径 0.4 mm楕円の油滴状
分布 九州北部以北
 卵   ふ化   1齢幼虫  
 3齢幼虫(無脚幼虫)   幼虫(有脚)   終齢幼虫

  成虫

・ 盛岡では4世代,長野で5世代,福岡では6〜7世代発生.
・ 越冬世代成虫の発生時期は地域により早晩が生じ,東北南部,長野では4月,
 東北北部では4月下旬〜5月
・ 越冬世代成虫の多くが羽化する時期には産卵に適する葉が少ないため,
 産卵できず死亡.第1世代前年度発生量は前年秋の0.001〜0.02%程度
・ 幼虫期に無脚幼虫と有脚幼虫という2つのステージを経る.
ギンモンハモグリガとは異なり古い葉にも加害できる.蛹は葉の中に形成される.
・ 無脚幼虫時に短日日長を経験すると休眠蛹となる

越冬後羽化成虫  卵、2007年5月9日

 


被害葉

 

・ 幼虫は葉に食入し,葉肉組織を食べ進む.無脚幼虫時には葉の海面上組織を吸汁しながら
 坑道を作り,有脚幼虫時には柵状組織を食べながら坑道を立体的にする.


防除

・ 交信攪乱剤は有効成分の持続期間を考慮し,5月下旬ころから設置する関係から
 処理前に発生するキンモンホソガ越冬成虫は交信攪乱による影響を受けない
・ 第1世代時密度が高い場合はその後の交信攪乱剤の効果が出にくいこともあるため,
 第2世代ふ化幼虫期に薬剤による補完的な防除が必要になる.
・ 第2世代の防除時期には

ハマキ

ムシ類(特に交信攪乱対象外のものが発生している場合は重要),
 モモシンクイガ第1世代の密度低下をねらった防除適期ともなる.
 使用薬剤はネオニコチノイド系剤やIGR剤が有効.
・ コンフューザAを連年使用していくと天敵類の活動によりキンモンホソガの発生が次第に
 少なくなる.キンモンホソガフェロモン成分を省いたコンフューザRを使用し,発生に応じて
 殺虫剤を使用することも可能


キンモンホソガの天敵
キンモンホゾガトビコバチ繭      


・ キンモンホソガトビコバチにより密度抑制.
・ 寄生蜂越冬世代の羽化時期はキンモンホソガ第2世代の卵期と同調.
・ キンモンホソガ第1世代(東北南部,長野:6月上旬,東北北部:6月下旬ピーク)は
 寄生蜂の寄生から免れる(第2世代以降は寄生蜂により抑制).


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