赤紫肉色ばれいしょの育成
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[要約]
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新用途の開拓可能なアントシアンを含む赤紫肉色のばれいしょ4系統を育成した。
4倍体で大粒の2系統は、実用性は優れるが淡肉色である。一方、2倍体で小粒の
2系統は、実用性は劣るが濃肉色で良風味である。種苗登録を行い、新たな需新
の開拓のための試験を継続する。
北海道農業試験場・畑作研究センター・ばれいしょ育種研究室
[連絡先]0155(62)9272
[部会名]作物
[専門] 育種
[対象] いも類
[分類] 研究
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[背景・ねらい]
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消費ニーズの多様化に伴って、肉色の様々なばれいしょへの関心が高まるとともに、アントシアンの機能性の研究が進んで、ばれいしょアントシアンの食用色素としての利用が注目されるようになった。これに応えるため淡赤紫肉色の育種素材を供試し、官民共同研究で育種、アントシアンの特性の解明と利用、食材としての用途開発の研究を実施した。
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[成果の内容・特徴]
(1) 今までのばれいしょには無かった紫、赤、赤紫、淡赤の肉色である(表1)。
(2)サラダ、デザート用として新用途が期待できる(表2)。特に淡赤の「WB902240-1」 は多収、良食味で、貯蔵後の糖の増加が多く甘味が強い(表2、表3)。
(3)育成系統のアントシアンは紫、赤の2種類あり、それぞれ別の遺伝子で発現し、交配による集積効果があるのでより高濃度系統の育成が可能である。
(4)用途は肉色を活かしたサラダ等の調理の他に、スライスチップス、パパセカ(ドライポテト)、ペースト等の加工品に適する。食用色素の抽出は色素含有量が少なく、採算 がとれないが、副産物としての利用は期待できる。
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[成果の活用面・留意点]
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生産にあたっては系統の栽培特性を理解し、適栽培法による安定生産と調理・加工特性を活かした用途開発につとめる。
[その他]
研究課題名:アントシアン高含有品種の育成
予算区分:官民共同研究
研究期間:平成8年度(平成2〜平成8年)
発表論文等:a."Some Chemical Characteristecs in Potato Breeding" Mori M.etc,APA
3rd Conf.1991
b.「バレイショのアントシアン高含有品種の育成(1)2倍体系統交雑後代における色素量の増加」 育雑42(別1) 354−355
c.「同上 (2)普通バレイショ交雑後代の色素量の増加」 育雑42(別2)482 1992
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