メロンの栄養障害・病害虫診断のためのビジュアル情報


[要約]
メロンの栄養障害・病害虫診断を目的とした、栄養障害15、病害9、虫害7、薬害1、寄生植物1(計 33種類)の症状、被害状況および原因生物に関するカラ−写真集(計140葉)を作成した。
北海道原子力環境センタ−・農業研究科
[連絡先]0135-74-3131
[部会名]生産環境(化学・病害虫)
[専門]   診断予防
[対象]   果菜類
[分類]   普及

[背景・ねらい]
従来より各種作物に関する栄養障害、病害虫の診断マニュアルが市販されている。しかし、 紙幅に限りがあるためか、あるいは著者の専門外であるためか、一つの作物についてあらゆ る生育障害を体系的に整理し、網羅した成書は意外と少ない。また総じてカラ−写真が少な いことも否めない。そこで、本ビジュアル情報では、多岐にわたる生育障害を対象に、診断 に必要とされる情報を出来る限りビジュアル(カラ−写真)化した。

[成果の内容・特徴]

  1. 栄養障害の症状に関する情報のビジュアル化(1997年) 水耕栽培(赤肉メロン「ルピアレッド」供試)により発現させた症状がビジュアル化されて いる。すなわち、第3本葉展開期以降に各多量・微量要素の欠如処理および各微量要素の過 剰処理を行い、発現した症状(初期〜後期)についての情報がカラ−写真化 されている (表)。また、多量要素のうち、リンを除く4要素(N、K、Ca、Mg)については着果期以降の 欠如処理による症状も紹介されている。
  2. 病害虫に関する情報のビジュアル化(1995〜1997年)  北海道の共和町におけるメロン圃場51筆を対象にした現地実態調査により発生が認められ た病害虫をはじめ薬害、寄生植物の情報がビジュアル化されている。すなわち、症状、被害 状況および原因となる生物に関する情報がカラ−写真化されている(表)
  3. ビジュアル情報による現場における栄養障害の診断例(1997年)  共和町のメロン圃場(2筆)で発生した原因不明の栄養障害を、作成したビジュアル情報 と照合し、診断した事例(マンガン過剰、窒素欠乏)が追記されている。
  4. メロンの紛らわしい障害の見分け方  栄養障害−病害−虫害−薬害間にみられる紛らわしい症状の見分け方について言及されて いる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 得られたビジュアル情報の写真集を作成し、関係農家、機関に配布予定。
  2. 栄養障害の診断では聞き取り調査結果および圃場環境等を勘案し、精度を高める。正確に 診断し得ない場合には、土壌および作物体の分析が必要となる。
  3. 栄養障害の症状は赤肉「ルピアレッド」のものであり、品種によっては症状が変化するこ とも考えられる。
  4. 正確に病害虫の診断ができない場合には、専門家に依頼する。

[その他]
研究課題名:メロンの栄養障害・病害虫診断のためのビジュアル情報
予算区分 :道 費
研究期間 :平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:赤司和隆、小宮山誠一、田村 修、中尾弘志、稲津 脩
発表論文等:なし 
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