ポリウレタン樹脂系塗装によるコンクリートの凍結融解抵抗性の向上


[要約]
コンクリート構造物にポリウレタン樹脂系塗料を施工することにより、凍結融解に伴う材料の劣化や庄縮強度等の力学的性質の低下を抑制できる。供用性が低下したコンクリート水路等の表面補修にこの工法を適用することにより、構造物の機能回復や耐用年数を延ばしたりすることが可能となる。
開発土木研究所・農業開発部・農業土木研究室
[連絡先]011-841-1111
[部会名]総合研究(農業物理)
[専門]農業施設
[対象]農業工学
[分類]指導

[背景・ねらい]
コンクリート構造物は、北海道のような積雪寒冷という厳しい自然条件下では劣化も著しく、20年程度で補修、改築を余儀なくされている施設もある。一万、地域環境の保全面から、コンクリート廃案物の発生抑制が昨今厳しく言われており、また、水路施設建設費低コスト化のためにも、コンクリート構造物の耐用年数を延長可能な技術開発や補修技術の改善は急務となっている。
ポリウレタン樹脂系塗料は劣化により粗面となった水路の補修等に実績があるが、北海道のような寒冷環境での利用可否については不明であった。当研究では、コンクリート構造物に標記の塗装材を施工することによる表面の滑面回復と同時に凍結融解の繰り返し作用に対する抵抗性について検討を行い、その利用の可否を判断する。

[成果の内容・特徴]
  1. 未施工コンクリートは凍結融解196サイクル後で完全に破壊するが(写真1)、ポリウレタン樹脂系塗料を塗装したコンクリートは300サイクルにおいても健全な形状を維持しており、塗装はコンクリートと十分密着している(写真2)
  2. 未施工コンクリートの圧縮強度が凍結融解の履歴に伴い急激に低下するのに対し、ポリウレタン塗装コンクリートの圧縮強度の低下の割合は小さい。
  3. 吸水率は両者とも凍結融解に伴い増加するが、ポリウレタン塗装コンクリートは300サイクル後でも未施工コンクリートの初期状態をわずかに上回った程度である。(図2)

[成果の活用面・留意点]
  1. 今回実験室レベルでホリウレタン塗装がコンクリートの凍結融解抵抗性が高まることを確認した。現在、フィールドでの実績も検証中である。
  2. 本工法は、新設のコンクリートについて実験を行ったものであり、老朽化したコンクリート面の実補修に当たっての現場技術(劣化部を削除した後の塗布方法等)については別途調整が必要と考える。

[具体的データ]
表1(図1)

[その他]
研究課題名:水路構造物の維持・補修工法に関する調査・研究
予算区分 :経常
研究期間 :平成10年度

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