道央・道北地域における「ホクシン」の栽培法


[要約]
道央・道北地域における「ホクシン」の播種適期の晩限は9月10日(道北等)〜20日(道央南部等)であった。播種量は255粒/m2が適当であった。倒伏回避に有効な窒素施肥法を提示した。「チホクコムギ」と異なり、止葉期追肥によりめんの適正粗蛋白含量を超える事例がみられた。
北海道立中央農業試験場・畑作部・畑作第二科、・農産化学部・穀物利用科、・専門技術員室北海道立上川農業試験場・研究部・畑作科、・専門技術員室
[連絡先]01238-9-20010166-85-2200
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]栽培
[分類]指導

[背景・ねらい]
秋まき小麦新品種「ホクシン」について、播種期、播種量、起生期以降の窒素施肥法について検討し、良質小麦の安定生産に向けての栽培技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 道央、道北地域での播種期は、越冬前に6葉以上の主茎葉数を確保する必要があり、そのための播種適期の晩限は、道北、道央北部および道央羊蹄山麓では9月10日まで、道央中部の中で秋期の気象条件、越冬条件が比較的厳しい北部では9月15日まで、その他の道央中部、道央南部では9月20日までと考えられる(図1)。
  2. 播種量については、0.5倍量は標準播種量(340粒/m2)に比べて減収した結果もみられるが、播種量0.75倍量の収量はほぼ同等で(図2)、倒伏の発生を軽減することを考えあわせ、「チホクコムギ」同様、標準の0.75倍量(255粒/m2)が適当である。
  3. 「ホクシン」の止葉期の窒素追肥(3kg/10a)による増収効果は「チホクコムギ」と同様に高く(図3)、従来の「チホクコムギ」の施肥技術である6−0−3(起生期−幼形期−止葉期、以下同様)と比べて3−3−3は同様の増収効果がみられ、倒伏の発生を軽減できる。
  4. 止葉期の茎数が800〜900本/m2以上では、倒伏の発生が助長されることがある(図4)。
  5. 安定・確収(目標収量500kg/10a)を目指すためには倒伏の発生に注意が必要で、目標とする越冬前茎数は1200〜1500本/2程度、穂数は550本/m2程度である。
  6. 当該地域では止葉期追肥によりめんの適正粗蛋白含量(10〜11%)に近づき「チホクコムギ」の施肥技術を適用できるほ場が多いが、空知、胆振、後志の一部では適正値を超え(図5)、前作が野菜の場合や、泥炭土などでは、止葉期追肥によりめんの適正粗蛋白含量を越える試験例がみられる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 道央、道北地域に適用する。
  2. 播種期は、各地の秋期の気象をもとに小麦地帯別栽培指針(平成2年度)を参考にする。
  3. 止葉期の生育が良好な場合は、止葉期での追肥は行わない。
  4. 止葉期の窒素追肥(3kg/10a)により約1%の粗蛋白含量が増加するため、通常年で粗蛋白含量が10%以上となるほ場では、止葉期の追肥は行わない。
  5. 止葉期の窒素追肥(3kg/10a)により約1%の粗蛋白含量が増加するため、通常年で粗蛋白含量が10%以上となるほ場では、止葉期の追肥は行わない。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分]
課題名:道央・道北地域における「ホクシン」の栽培法(指導参考)

[その他]
研究課題名:道産小麦の品質向上試験(パートIII) 3.栽培改善による品質向上と安定多収(1)育成系統(ホクシン)の栽培法確立
予算区分 :受託
研究期間 :平成10年度(平成7〜9年)

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