主要大豆品種の密植およびコンバイン収穫適性と茎水分低下特性


[要約]
北海道の主要大豆品種中、密植適性は「トヨコマチ」が、コンバイン収穫適性は「カリユタカ」が高い。裂莢性易の品種のコンバイン収穫では、ロークロップタイプヘッドが望ましい。10月4半旬の茎含水率と成熟期の茎重率との間の関係が深い。
北海道立十勝農業試験場・研究部・豆類第一科、農業機械科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]豆類
[分類]指導

[背景・ねらい]
北海道の十勝、網走、上川地方の主要大豆品種(裂莢性易)について密植栽培適性、密植栽培におけるコンバイン収穫適性を横並びで評価し、これら品種の汎用型コンバインに対応する技術を検討する。さらに、コンバイン収穫で問題となる汚粒を回避するため、成熟後の茎水分低下の特性とその要因を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 主要6品種中、密植適性では増収率が高く倒伏も比較的少ない「トヨコマチ」が、密植でのコンバイン収穫適性では耐倒伏性の強い難裂莢性品種「カリユタカ」が高い(表1)。
  2. 裂莢性難の「カリユタカ」ではリールおよびロークロップ・タイプヘッドのどちらも総損失はそれぞれ2.7%と1.4%で少いが、裂莢性易の「トヨムスメ」ではリールタイプで総損失5.3%、ロークロップ・タイプで2.0%である(表2)。よって、裂莢性易の品種のコンバイン収穫では、ロークロップ・タイプヘッドの利用が望ましい。
  3. 茎水分は、成熟期の75%前後から序々に低下し、着莢障害が発生した年を除き11月上旬にはほぼ20〜30%に低下する。品種・年次間差の最も大きかった10月4半旬の茎含水率は、成熟期の茎重率と関係が深かい()。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本成績は、大豆の栽培地帯区分III(十勝中央部)における試験成績である。その適用および品種選択にあたっては気象条件等を考慮する。
  2. 着莢障害が発生した年は、茎水分の低下が非常に遅れる可能性があるので留意する。

[平成10年度北海道農業試験会議成績における課題名及び区分]
課題名:主要大豆品種の密植およびコンバイン収穫適性と茎水分低下特性(指導参考)

[その他]
研究課題名:豆類の普通型コンバイン等を利用した高品質収穫技術の開発
(大豆機械化適応栽培法と普通型コンバイン収穫技術の開発) 予算区分 :国補(地域基幹) 研究期間 :平成10年(平成7〜11年度)

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