冬期播種による寒地たまねぎの8月出荷技術


[要約]
たまねぎの秋播き栽培が困難な地域で早期出荷(8月上旬)するためには、「北はやて」、「北早生3号」を12月中旬から2月上中旬までに播種し、4月20日頃から5月初旬までに定植する。定植直後から30日程度の間べたがけ被覆を行う。
北海道立北見農業試験場・研究部・園芸科
[連絡先]0157-47-2146
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]葉茎菜類
[分類]普及

[背景・ねらい]
道産たまねぎの出荷前の7、8月に端境期が広がっているが、通常の寒地春播き作型では端境期に向けた出荷開始は困難である。道央地帯では寒地秋播き作型が平成10年度に奨励されたが、これは我国のたまねぎの最大産地である道東地域においては、凍損や凍上被害のため導入が困難である。そこで、秋播き品種を用い冬季低温下で長期間育苗することで充実した苗を養成し、これを早期に定植することで8月上旬までの早期出荷を達成する栽培法、とくに育苗法を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 品種は、「北はやて」、「北早生3号」が本作型に適する。
  2. 8月上旬に収穫するためには、播種期は「北はやて」では12月中旬から2月中旬、「北早生3号」では12月中旬から2月上旬、定植期は両品種とも4月20日頃から5月初旬までとする。
  3. 定植苗は、草丈25〜30cm、葉数3.5〜4.0枚、葉鞘径4〜4.5mmを目標とする。
  4. 12月中旬から1月末播種までは、発芽期前後が厳冬期にあたるため、土壌水分保持が容易で、地温変化の緩慢な点から慣行地床育苗とする。みのる式育苗は2月初旬以降の育苗開始が適する。
  5. みのる式では、慣行育苗方式と比較して圃場生育がやや劣り、分球の発生が多いなど今後技術的な改良を加える必要がある。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本栽培法は、当面秋播き栽培の困難な地帯で4月20日頃から定植可能な圃場で行う。
  2. 生育を前進させるために、定植直後から25〜35日間べたがけ被覆を行う。
  3. 通常の3月中旬播種の慣行苗を4月下旬の早期に定植し、べたがけ被覆を行うと風害や高温害により欠株が多くなることがあるので使用を避ける。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分]
課題名:たまねぎの早期播種による前進栽培技術(普及奨励)
[具体的データ]
表1図1表2

[その他]
研究課題名:たまねぎ新品種育成試験
予算区分 :道単
研究期間 :平成10年度(平成9〜10年)
発表論文等:タマネギの長期越冬育苗法と早期定植による前進栽培技術(第1報)苗生育と収量および品質,北海道園芸研究談話会報,31,11-12,1998

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