無加温ハウスを利用したエレムルスの作期の前進


[要約]
秋季に定植したエレムルスを、2月上旬から換気温度を20℃に設定した無加温ハウスで栽培することにより、切り花品質が低下することなく露地より約1か月早い収穫が可能である。
北海道農業試験場・作物開発部・野菜花き研究室
[連絡先]011-851-9141
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]花き類
[分類]指導

[背景・ねらい]
エレムルス(Eremurus M.Bieb.、ツルボラン科)は耐寒性が強く夏季冷涼な気候を好むため、今後北海道での生産の増加が期待される切り花品目である。しかし、露地栽培では6〜7月に開花し、1品種の採花期間は10日程度と短いことから、出荷期間の拡大を図るため、無加温ハウスでの促成栽培法を検討するとともに、塊根形質が開花に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 北海道の秋季にパイプハウス内に定植したエレムルスを、2月上旬にビニルフィルムで被覆し、融雪後換気温度を20℃に設定した無加温ハウス内で栽培することにより、切り花品質が低下することなく露地より約1か月早い収穫が可能である(表1)。
  2. 無加温ハウスでの開花時期の早晩は、露地栽培での開花の早晩とほぼ一致し、'ヒマライクス'の開花が最も早く、次いで'パレード'、'ホワイト・ビューティー'であり、'ピノキオ'は最も開花が遅い(表1図1)。
  3. 定植する塊根が小さいと開花率が低下する。開花率が80%以上となる塊根重は'ホワイト・ビューティー'では400g以上、'ピノキオ'、'クレオパトラ'では150g以上、'ステノフィルス'では100g以上である(図3)。また、芽数の多い塊根を定植することにより、株当たりの採花本数が増加する。

[成果の活用面・留意点]
  1. エレムルスの無加温ハウス栽培時の参考とする。
  2. 露地栽培との組み合わせにより、5月上旬から7月中旬までの切花生産が可能である。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
課題名:エレムルスの品種特性(花き遺伝資源の導入及び特性の解明)(指導参考)
[具体的データ]
図2

[その他]
研究課題名:エレムルスの品種特性(花き遺伝資源の導入及び特性の解明)
予算区分 :バイテク(ジーンバンク)、経常
研究期間 :平成10年度(平成7年〜10年)
発表論文等:1.エレムルスの品種特性と球根の増殖性,北海道園研報,31,1998.2.エレムルスの開花調節と品種特性,園学雑,68,1999.(投稿中)


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