牛糞尿の発酵促進とアンモニア揮散抑制


[要約]
牛糞尿の堆肥化には水分調節と通気性が重要である。牛糞中の大腸菌は55℃、10日程度の発酵熱で死滅することが分かった。糞尿敷料混合物に過リン酸石灰を混合することにより、堆肥化過程におけるアンモニア揮散が抑制されるとともに過リン酸石灰中リン酸の土壌中での固定が抑制される可能性が示された。
北海道立新得畜産試験場・生産技術部・環境資源科
[連絡先]01566-4-5321
[部会名]畜産・草地
[専門]環境保全
[対象]糞・尿
[分類]指導

[背景・ねらい]
家畜糞尿堆肥化の発酵促進および好気発酵にともなって発生する悪臭成分であるアンモニアの揮散防止法を検討する。併せて、堆肥が有効に活用されるため、機能性を付与する技術について基礎的な検討を行う。

[成果の内容・特徴]
  1. 発酵条件の検討と発酵促進
    1. 易分解性有機物が多くても物理性に改善がないと発酵促進効果は小さい。(表1)
    2. 市販資材の添加により発酵は促進されるが、腐熟堆肥・土壌の添加の効果も同程度であった。
    3. 牛糞中の大腸菌は発酵によって、55℃以上の温度が10日間持続した場合で死滅した。切返しによってあらゆる部分が高温に曝されることが必須である。(図3図4)
  2. アンモニア揮散抑制方法の検討
    1. 発酵過程で発生するアンモニアは尿由来の窒素化合物からの割合が高い。
    2. 尿あるいは糞尿敷料混合物のpHを7以下および腐熟堆肥を混合して培養するとアンモニアの揮散は抑制された。
    3. 糞尿敷料混合物に過リン酸石灰を原物比で2.5%程度を混合して堆肥化することでアンモニアの揮散が抑制されるとともに、堆肥中のアンモニア態窒素含量が高く維持され、硝酸態窒素の生成が抑制された。(図12) 過リン酸石灰を堆肥化することにより、過リン酸石灰を直接施用した場合に比べて土壌中でのリン酸固定は抑制される可能性が示された。(図5)

[成果の活用面・留意点]
  1. 糞尿敷料混合物の堆肥化に活用する。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分]
課題名:牛糞発酵促進とアンモニア揮散抑制(指導参考)

[その他]
研究課題名:微生物利用による急速堆肥化・無臭化技術の確立2.牛糞、機能性堆肥化技術の確立
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年度(平成6年〜10年)

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