でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対する窒素追肥効果


[要約]
でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対し、開花期に4kg/10a程度の窒素追肥を行うことにより、でん粉収量で5〜15%の増収が得られる。同量の緩効性窒素IBを基肥に上積み施用することにより同様の効果が得られる。
北海道立北見農業試験場・研究部・土壌肥料科
[連絡先]0157-47-2146
[部会名]生産環境
[専門]肥料
[対象]いも類
[分類]指導

[背景・ねらい]
でん粉原料用のばれいしょ「コナフブキ」に対する窒素追肥によってでん粉収量を向上させる可能性を明らかにするとともに、追肥に替わる緩効性窒素の基肥施用について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対し、窒素追肥及び緩効性窒素の基肥施用を行うことにより、茎長、生育量が増加する。窒素吸収量も増加し、それに伴ってカリの吸収量も増加する(表1)。上積みした窒素の利用効率は、開花期追肥と緩効性窒素IB4kg施用で、50%を越えたが、培土期追肥、基肥窒素の増肥(4kg/10a)では40%以下にとどまる。
  2. でん粉収量は開花期における4kg/10a程度の窒素追肥で5〜15%高まった。この際、枯凋期は1週間程度遅れることがある。また、緩効性窒素IBを同量基肥として上積み施用することにより開花期追肥と同様の効果が得られる。培土期の追肥では幾分効果が下がり、4kg程度の基肥増肥効果はみられない。また、基肥で緩効性窒素IBの割合を増やした場合、肥効が遅れて増収効果が得られない(表2)。
  3. 窒素追肥及び、緩効性窒素IBの施用によるでん粉価の低下は、大きくても0.5%程度にとどまる。秋に気温が急激に下がらない清里試験地ではでん粉価が低下する傾向はさらに小さい(表2)。
  4. 追肥の効果は内陸部の北見地方よりも、斜網地方の方が大きい例が得られた(表2)。また、早堀り条件では、追肥、緩効性窒素IBによるでん粉収量の増加は得られない(表3)。
  5. 「紅丸」では開花期追肥によるでん粉収量の増加は得られない(表4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 追肥及びその代替えとしての緩効性肥料IBの施用は「コナフブキ」に限る。早堀及び、生育が中断される早霜の恐れのある地帯は対象としない。
  2. 本追肥技術の適用は道東に限定し、かつ窒素供給力が極端に高く倒伏が激しい圃場に適用しない。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
課題名:でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対する窒素追肥(指導参考)

[その他]
研究課題名:でん原用ばれいしょ「コナフブキ」に対する窒素追肥の可能性に関する試験
予算区分 :受託
研究期間 :平成10年(平成9〜10年)
発表論文等:馬鈴しょ品種「コナフブキ」の窒素追肥反応,1998年度土壌肥料学会北海道支部要旨集,1998

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