秋作による小粒種ばれいしょの生産と利用


[要約]
「ワセシロ」、「男爵薯」、「とうや」を利用した秋作によるばれいしょの採種栽培体系では、全粒植え可能なS、2S規格のいも数は春作採種栽培より多く生産できる。秋作で生産された種いもの塊茎肥大は春作種いもより早い。
北海道立北見農業試験場・研究部・馬鈴しょ科
[連絡先]0157-47-2146
[部会名]作物
[専門]栽培
[対象]いも類
[分類]指導
[背景・ねらい]
これまで、ばれいしょの良質多収栽培のために、種いもに丁寧に切れ目を入れ、できるだけ種いもの芽を揃えていた。しかし1戸当たりの栽培面積の増加や労働力不足から、種いも切りの労力は農家の負担となっている。このため、小粒種いもの生産技術が生産現場から要望されてきたが、普通(春作)採種栽培では十分量の小粒種いもを生産する技術は確立できていない。そこで、秋作による採種栽培における小粒種いもの生産量、アブラムシの発生推移および秋作で生産された小粒種いもの収量性を検討し、秋作による小粒種いも生産技術を確立することが要望されていた。
[成果の内容・特徴]
  1. 秋作採種栽培(以下、秋作と示す)は図1に示したような作業内容である。
  2. 秋作の種いも供給数は春作比82〜93%と少なかったが、全粒植え可能な2S〜S規格(21〜60gの範囲)のいも数は「ワセシロ」、「男爵薯」では春作の約2倍である(図2)。
  3. 植付適期は8月上旬〜8月15日である(図3)。
  4. 秋作で生産された種いもは、塊茎肥大が早く、春作種いもより上いも1個重が大きい(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 「ワセシロ」、「男爵薯」、「とうや」を用いた秋作による採種栽培体系は網走管内に適用する。
  2. 集団専門栽培を前提とし、秋作採種ほ場及び周辺の一般ほ場ではアブラムシ防除を徹底する。疫病の防除はアブラムシ防除と同時に行い、生育中期には塊茎腐敗に効果のある薬剤を使用する。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:秋作による小粒種ばれいしょの生産と利用(指導参考)
[具体的データ]
表1
[その他]
  研究課題名:野菜の省力機械化技術を基幹とした大規模畑輪作技術
         オホーツク沿海地域における持続可能型輪作体系の確立
           イ)輪作体系確立のための新規作物導入と土壌管理技術の改善
             (ア)新畑作物導入技術改善 (2)秋作による小粒種ばれいしょ生産技術
  予算区分:国費補助(地域基幹)
  研究期間:平成11年度(平成9年〜11年)
 研究担当者:大波正寿、千田圭一、池谷 聡、伊藤 武
 発表論文等:なし

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