早期受胎を目指した乳用牛育成前期の飼養法


[要約]
乳用育成牛において、サイレージ主体で日増体量0.9sにする飼料中養分濃度は、乾物中TDN含量72%である。そのときの正常な第一胃内発酵および発育にはタンパク質含量16%を必要とする。本飼養法で過肥にせず15か月齢までの受胎が可能である。
北海道立新得畜産試験場・家畜部・酪農科
[連絡先]01566-4-5321
[部会名]畜産・草地(畜産)
[専門]飼育管理
[対象]家畜類
[分類]指導
[背景・ねらい]
推奨されている初産分娩月齢は24か月齢であるが、現状は26〜27か月齢分娩で10年間以上変化がない。初産分娩短縮には、育成前期にエネルギーとタンパク質のバランスがよい飼料給与で日増体量を高めて早期に受胎させる必要がある。しかし、過剰なエネルギー飼料では過肥になり、乳腺の発達が阻害され乳生産が減少する。また、成長著しい期間ではタンパク質要求量が高いと想定されるが、サイレージ主体飼養で日増体量を高める場合の適正な飼料中養分濃度、特にタンパク質濃度が明確に示されていない。そこで、過肥にせずに日増体量を高めて早期受胎させる飼料中養分濃度を検討した。
[成果の内容・特徴]
  1. サイレージ主体飼養時(NDF含量40%以上)で、日増体量0.9sにしたときの月齢別乾物摂取量を提示できた()。
  2. このときの飼料乾物中TDN含量は、72%であった。
  3. 飼料中のタンパク質濃度にかかわらず、12〜13か月齢の間で交配基準(体重350s、体高125p以上)に達し、15か月齢までには受胎が確認できた。
  4. また、乳腺発達に影響を及ぼす期間(3〜11か月齢)では、体重/体高比の値がホル協発育値と同じか低かったことから飼料乾物中のタンパク濃度に関係なく、体重・体格ともに大きくなることが示された(図1)。
  5. しかし、7か月齢以降の飼料乾物中タンパク質含量を12%から16%にすると、体高値が大きくなる傾向があった(p<0.10:図2)。
  6. また、飼料中タンパク濃度を同様に高めることで、血中尿素態窒素濃度の推移から第一胃内発酵に必要といわれているアンモニア態窒素濃度になった(図3)。
[成果の活用面・留意点]
本成績は、主に育成牧場などで飼料計算の基礎データとなる。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:早期受胎を目指した乳用育成前期の飼養法(指導参考)
[その他]
研究課題名:大規模土地利用型酪農における省力的群管理技術の開発
予算区分:地域基幹
研究期間:平成11年度(平成6〜10年)
研究担当者: 大坂郁夫          
発表論文等:なし

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