DNAマーカーと豚の経済形質との連鎖解析


[要約]
中国豚とヨーロッパ改良種の交雑により豚の実験家系を作出した。DNAマーカーを用いて連鎖解析をおこない、101マーカーにより連鎖地図を作製した。F2世代の形質を調査し、ML家系における測定値と連鎖地図を用いた連鎖解析の結果、新たに15ヵ所のQTL候補が確認された。
北海道立滝川畜産試験場・研究部・養豚科
[連絡先]0125-28-2211
[部会名]畜産・草地(畜産)
[専門]バイテク
[対象]家畜類
[分類]研究
[背景・ねらい]
近年分子遺伝学の発展に伴ない、DNAを解析することで効率的な選抜の可能性があることが示唆されてきた。そこで豚において実験家系を作出し、DNAマーカーを用いた連鎖地図作製および形質測定値の連鎖解析をおこない、染色体上の遺伝子座の位置を推定する。
[成果の内容・特徴]
  1. 梅山豚×ランドレース交雑によりML実験家系を作出した(表1)。
  2. 164マーカーを多型解析して、利用可能と判断されたDNAマーカーを用いてF2世代について連鎖解析をおこない、101マーカーによりインターバルマッピング法を用いて連鎖地図を作製した。1番、4番および8番染色体の連鎖地図を図1に示した。
  3. QTL解析のためF2世代の形質を調査した。ML家系における測定値と作製した連鎖地図による連鎖解析の結果、新たに15ヵ所のQTL候補が確認された。それらの形質測定値の概要とQTL解析結果を表2に示した。椎骨数、背脂肪厚および生時体重のQTL候補は他県や農水省畜試など複数の実験家系と同一の染色体上に検出された。
[成果の活用面・留意点]
本研究においてQTL候補が検出されたが、DNAマーカーアシスト選抜に利用するには今後新たなDNAマーカーの開発、最新手法の採用および自動化、マーカータイプによる選抜の検証等の研究が必要である。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:DNAマーカーを用いた豚の経済形質との連鎖解析(研究参考)
[その他]
研究課題名:家畜のDNAマーカーによる新育種技術の開発
予算区分:国費受託
研究期間:平成11年(平成7〜11年)
研究担当者:内藤 学、山田 渥

戻る