クロルピクリンくん蒸剤によるジャガイモそうか病防除の限界と効果の高い種いも消毒剤


[要約]
クロルピクリンくん蒸剤のそうか病菌に対する殺菌効果は高いが、圃場レベルでは汚染土壌の混入や残存した病原菌の回復などにより十分な防除効果は得られない。オキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン水和剤(100倍)と水酸化第二銅水和剤(100倍)の混用による種いも消毒の効果は高い。
北海道立北見農業試験場・研究部・病虫科、土壌肥料科
北海道立十勝農業試験場・研究部・病虫科
北海道立中央農業試験場・病虫部・土壌微生物科
[連絡先]0157-47-2146
          0155-62-2431
          01238-9-2001
[部会名]生産環境
[専門]作物病害
[対象]いも類
[分類]指導
[背景・ねらい]
長崎県の秋作ばれいしょ連作地帯では、菌密度の回復を抑制するために土壌pHを4.9以下に維持した条件でクロルピクリンくん蒸剤による作期ごとの土壌消毒を行い、そうか病を防除している。しかし、経済性を考慮すると北海道で作付けごとに土壌消毒を行うことは不可能であり、また、輪作を前提とすると土壌pHを極端に低く維持することも不可能である。
そこで、北海道においてクロルピクリンくん蒸剤による一回の土壌消毒により病原菌密度を下げ、輪作条件下でそれを維持する可能性について検討する。また、現行の種いも消毒剤よりもさらに効果の高い薬剤を探索する。
[成果の内容・特徴]
  1. 無底枠における試験では、クロルピクリンくん蒸剤のそうか病菌に対する殺菌効果は高い(表1)。
  2. 圃場レベルでの試験では防除効果は認められなかった(表2)。しかし、処理直後に採取した土壌では高い防除効果が認められた(表2)。このことは、消毒後のロータリー作業などによる汚染土壌の混入や残存した病原菌の増殖などにより病原菌密度が回復したためであると考えられる。したがって、北海道の輪作を前提とした条件では、クロルピクリンくん蒸剤による一回の土壌消毒で病原菌密度を低下させ、これを維持することは困難である。
  3. オキシテトラサイクリン・ストレプトマイシン水和剤(100倍)と水酸化第二銅水和剤(100倍)の混用による種いも消毒(瞬間浸漬処理)の防除効果は高い(表3)。
[成果の活用面・留意点]
クロルピクリンくん蒸剤による土壌消毒は、輪作を前提としている北海道での適用は困難である。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:クロルピクリンくん蒸剤による土壌消毒がジャガイモそうか病の発生におよぼす影響と種いも消毒剤の改良(指導参考)
[その他]
研究課題名:ジャガイモそうか病総合防除法開発試験
       U.土壌環境改善による発病抑制技術の開発
       V.生物・化学的防除法の開発
      ジャガイモそうか病の定量法と発病抑制技術開発
予算区分     :受 託
      道 費
研究期間     :平成11年度(平成7 11年)
研究担当者:相馬 潤、鈴木慶次郎、志賀弘行、東田修司、田中文夫、美濃健一
発表論文等:

戻る