播種床造成によるばれいしょの高能率収穫法


[要約]
播種前に土塊・石礫を除去することで、収穫時の培土内の土塊・石礫は皆無となり、2畦収穫機の利用が可能となる。収穫作業能率は0.26ha/hで、慣行の約3倍である。作業体系全体の投下労働量は、慣行の72.9人時/haに対し、播種床造成+2畦収穫では41.9人時/haである。萌芽期は若干遅れるが、規格品率が高まる傾向にある。
北海道立十勝農業試験場・生産研究部・栽培システム科
作物研究部・てん菜畑作園芸科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]総合農業(農業物理)
[専門]作業
[対象]いも類
[分類]指導
[背景・ねらい]
現行のばれいしょ生産体系では、収穫作業が多労で低能率である。播種前に播種列の土塊・石礫を除去し、2畦収穫機により省力・無選別・高能率に収穫する新たな作業体系について、その効果と導入条件を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 播種床造成によるばれいしょ生産システムでは、2畦幅分の作土を土寄せし、作土の土塊を粉砕するとともに間隔35mmでふるい分けし、高畦播種床を造成する。直径100mm以下の土塊・石礫は畦間へ戻し、100mmを超えるものは圃場外へ搬出する。播種・培土作業は、2畦播種機で同時に培土を形成する。収穫作業は、収穫機上での土塊・石礫の除去が不要となることから、2畦収穫機を使用し、伴走トレーラへ排出する(図1)。
  2. 萌芽期は慣行区に対して3日程度遅れるが、播種後約90日で生育量は同等となる。乾性火山性土では、小いも、緑化塊茎の減少により規格品率が高まる傾向にある(表1)。収量、規格品率が安定して高いのは、播種深度15cm、畦幅75cm×株間30cmである。
  3. 慣行の1畦収穫機を使用する場合は、機上で粗選別を行うが、選別コンベヤ上の土塊・石礫が減少することで、作業人員は1〜2名削減でき、作業速度を3割程度向上できる。2畦収穫機の作業能率は0.26ha/hであり、慣行の2.6〜3.3倍である。全体の投下労働量は、慣行が72.9人時/ha、播種床造成+1畦収穫が51.9人時/ha、播種床造成+2畦収穫体系が41.9人時/haである(図2)。
  4. 利用面積32ha以上では、慣行体系は収穫機3台、オペレータ3名、機上選別12名の計15名の組作業となり、労働力の確保が困難となるが、2畦収穫体系の作業人員は3名の組作業で行うことが可能である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 播種時培土により深植えとなるので、種いも消毒と十分な浴光催芽を行う。
  2. 乾性火山性土におけるばれいしょ栽培に適用でき、播種深度15cmとする。
  3. 2畦収穫機は平坦地での使用とする。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:播種床造成によるばれいしょの高度生産性作業システム(指導参考)
[その他]
研究課題名:播種床造成によるばれいしょの高度生産性作業システム
予算区分 :道単
研究期間 :平成12年度(平成11〜12年)
研究担当者:鈴木 剛、松永 浩

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