早熟、複合抵抗性のコンバイン収穫向きだいず新品種候補系統「十育233号」


[要約]
だいず「十育233号」は、既存品種より早熟な中生の早で、低温抵抗性が強く、ダイズシストセンチュウに抵抗性があり、難裂莢性のコンバイン収穫向き系統である。白目中粒で臍周辺着色の発生が少なく良質であり、煮豆、納豆および味噌の加工適性に優れる。
北海道立十勝農業試験場・作物研究部・大豆科
[連絡先]0155-62-2431
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]豆類
[分類]普及
[背景・ねらい]
道央の転作地帯ではコンバイン収穫時の汚粒軽減のため、また道東の畑作地帯では収穫作業の前進のため、早熟品種が熱望されている。さらに、収量および品質の安定化のためには低温抵抗性や着色抵抗性、シストセンチュウ抵抗性等の抵抗性の複合化が不可欠である。現在、北海道で栽培されている白目中粒品種には「トヨコマチ」、「カリユタカ」および「トヨホマレ」があるが、いずれの品種も栽培特性上一長一短がある。
よって、大豆の省力化・高位安定生産のために、早熟で各種抵抗性を複合化したコンバイン収穫向き品種の普及が必要である。
[成果の内容・特徴]
  1. 平成2年に十勝農試で交配(「十系783号」×「十系780号」)し、その後F〜F まで早生の耐冷・多収を目標に北見農試において現地選抜を経た系統であり、平成12年の世代はF11である。
  2. 成熟期が「トヨコマチ」並から早く、収量はやや多収である。
  3. 低温抵抗性が強く、また臍周辺着色の発生が少ない。
  4. 難裂莢性で成熟後の茎水分低下が早くコンバイン収穫に適する。
  5. ダイズシストセンチュウ抵抗性が強である。
  6. 煮豆、納豆および味噌の加工適性に優れる。
[成果の活用面・留意点]
  1. “とよまさり”銘柄を構成する白目中粒の「トヨコマチ」および「カリユタカ」、「トヨホマレ」に置き換えて普及する。
  2. ダイズわい化病抵抗性は“弱”なので、適切な防除に努める。
  3. ダイズシストセンチュウ抵抗性は“強”であるが、適正な輪作のもとで栽培する。
  4. 早熟なので収穫期に達した後は、雨害による品質低下を避けるため速やかに収穫する。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:だいず新品種候補系統「十育233号」(普及奨励)
[具体的データ]
表1
表2
表3
図1
[その他]
研究課題名:新品種育成試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :平成12年度(平成2〜12年)
研究担当者:湯本節三、松川 勲、土屋武彦、冨田謙一、白井和栄、田中義則、黒崎英樹、山崎敬之、鈴木千賀、角田征仁
発表論文等:なし

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