メロンつる割病(レース1,2y)抵抗性台木「空知台2号」


[要約]
メロン台木「空知台2号」は優れた台木特性を有し、幅広いメロン品種、作期に対応する。また、メロンつる割病の全てのレース(レース0、レース1、レース2およびレース1,2y)に対して抵抗性を示す我が国で初めての台木品種である。
北海道立花・野菜技術センター・研究部・野菜科
[連絡先]0125-28-2800
[部会名]作物
[専門]育種
[対象]果菜類
[分類]普及
[背景・ねらい]
北海道では、平成5年にメロンつる割病(レース1,2y)の発生が確認され、従来のつる割病抵抗性を持つ品種をことごとく侵すため品種による対応ができず、発生地ではその対策に非常に苦慮していた。平成7年より抵抗性台木品種の開発を開始し、平成11年にメロンつる割病(レース1,2y)抵抗性台木「どうだい1号」が北海道優良品種に認定された。「どうだい1号」は、メロンつる割病(レース1,2y)に対しては極めて強い抵抗性を有していた。しかし、胚軸が細く接木作業がやや難しく、低温期の草勢が弱く、また、草勢の強い品種に接ぐ際に果実品質が低下する場合があるなど、台木特性の面で若干の問題を抱えていた。
花・野菜技術センターでは、「どうだい1号」の持つメロンつる割病(レース1,2y)抵抗性を維持し、「どうだい1号」の欠点である低温期の草勢の弱さを改良することを育種目標とし、「どうだい1号」を花粉親とするF1系統「空知台2号」を育成した。
[成果の内容・特徴]
  1. 「空知台2号」は、メロンつる割病(レース1,2y)に対してやや強い抵抗性を示し、激発圃場を除き、一般の発生圃場では十分な実用性を有する(表1)。また、レース0およびレース2に対しては質的抵抗性を有する。
  2. 「空知台2号」の接ぎ木作業性は「どうだい1号」より改善され、「金剛1号」と同等である。接合面は正常であり、接ぎ木親和性に問題はない(表2)。
  3. 収量性および果実品質については、メロンつる割病(レース1,2y)未発生圃場、発生圃場いずれにおいても、「どうだい1号」「金剛1号」および自根栽培と同等から優る(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. メロンつる割病(レース1,2y)の発生が想定される圃場で用いる。但し、激発が予想される場合には土壌消毒により菌密度を低下させた後に用いる。
  2. ハウス半促成栽培に適応する。トンネル早熟栽培、ハウス促成栽培およびハウス抑制栽培については未検討である。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分
課題名:メロンつる割病(レース1,2y)抵抗性台木「空知台2号」(普及奨励)
[その他]
研究課題名:メロンの新品種育成試験III
予算区分 :道単
研究期間 :平成12年度(平成10〜12年)
研究担当者:平井 剛,八木亮治,中住晴彦,土肥 紘,中野雅章,志賀義彦
発表論文等:なし

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