アルファルファの出芽安定に有効な表層破砕装置


[要約]
除草剤処理同日播種法によるアルファルファ単播草地の造成において,グラスシーダの前部に装着した表層破砕装置で,播種床の表層を深さ約1cmで破砕することにより,アルファルファの出芽・定着が向上する。
北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第3チーム
[連絡先]0155-62-9286
[部会名]畜産・草地(草地)
[専門]栽培
[対象]牧草類
[分類]指導
[背景・ねらい]
播種床を整備後に一定期間放置して雑草を発芽させ、グリホサート系除草剤により雑草処理し,それと同日に播種する方法(除草剤処理同日播種法)は、アルファルファ単播草地造成時の雑草対策として有効である。しかし、播種床放置期間が30〜40日と長く、その間の風雨による播種床表面のクラスト化がアルファルファの出芽・定着の不安定要因となっている。これに対して播種時に、クラスト化した表層を極く浅く破砕する(表層破砕)ことにより、アルファルファの出芽・定着率を向上できることが示唆されている。そこで、播種精度の高いグラスシーダに表層破砕を組み入れた高精度なアルファルファ播種技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 除草剤処理同日播種におけるアルファルファの播種精度および出芽安定性を高めるため、表層砕土装置を装着したグラスシーダを試作した(写真)。表層破砕装置は、直径6mm、水平との取り付け角50度のスプリングタインを2連に配置しており、タインは幅5cm間隔、深さ約1cmで、すじ状に表層を破砕する(表1)。
  2. 表層破砕装置は平行リンク方式で圃場の凹凸に追従するため、作業速度7〜9.5km/hにおいてもその破砕効果は変わらず、播種作業能率は市販グラスシーダと同じ1.0〜1.3ha/hである(表1)。
  3. 本装置による表層破砕を組み合わせた播種は、10%以上の出芽・定着率の向上が期待でき、特に播種床が軟らかい条件では効果が高い(表2)。
  4. 試作機を用いてアルファルファを播種した結果、農家実証(約2ha)においても初回刈取り時の雑草割合は17%以下で、表層破砕により下層の休眠雑草が大量に再発生する危険性は少ない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 除草剤処理同日播種法によるアルファルファ単播草地の造成に活用できる。特に、地表面がクラスト化しやすい土壌では有効である。
  2. 本成果は、火山性土壌で得られたものである。
[その他]
研究課題名:アルファルファを導入した短期輪作技術の開発
予算区分 :総合研究(地域総合)
研究期間 :平成12年度(平成10年〜14年)
研究担当者:池田哲也・糸川信弘・新良力也
発表論文等:日本草地学会平成13年度大会において発表予定

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