小麦刈り跡地のアルファルファ簡易耕・施肥播種技術


[要約]
寒地畑作地帯の秋播き小麦刈り跡地へ、アルファルファを部分耕バンドシーダで簡易耕しながら施肥播種することにより、翌年は3回刈りで10a当たり年間900kg前後のアルファルファ乾物収量が得られる。
北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第3チーム
[連絡先]0155-62-9286
[部会名]畜産・草地(草地)
[専門]栽培
[対象]牧草類
[分類]研究
[背景・ねらい]
アルファルファは蛋白質やミネラルに富む高品質粗飼料として、年間100万トン程度輸入されている。わが国ではイネ科牧草との混播栽培が中心であるが、高泌乳牛に適応した良質粗飼料として、単播アルファルファの栽培技術の確立が求められている。
寒地畑作地帯へアルファルファを導入する方策の一つとして、7月下旬に秋播き小麦を収穫した跡地へ、アルファルファを迅速に簡易耕・施肥播種する技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 簡易草地更新機をベースとして、アルファルファ用の部分耕バンドシーダを開発した(写真1表1)。本機は、条間隔20cmで幅7cm、深さ10cm に耕うんし、肥料・土改材を表層部に混和しながらコート種子を耕うん幅一杯に散播する(図1)播種機構を有する。
  2. 作業能率は0.4〜0.5ha/h、作業工程数は慣行のプラウ耕起、播種の1/2〜1/3となる。一行程で耕うん・施肥・播種できるので、アルファルファの越冬限界内での播種が可能になり、生産コストが低減できる。
  3. 造成翌年の1番草は、収穫時に脱粒した子実から出芽した小麦の混入が20%程度あるが、2番草以降は雑草の少ないアルファルファ単播草地となり、1番草に混入した小麦を除く年間のアルファルファ乾物収量は900kg/10aであった(表2)。なお、ラップサイレージに調製した1番草の粗蛋白質およびカルシウム含量は、単播アルファルファに比べて20〜30%低下したが、可消化養分総量は5%前後の低下に止まった(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 小麦刈り跡へ迅速にアルファルファを播種することで、寒地において土地利用率の高い単播草地の夏造成が可能となる。
  2. 脱粒子実から出芽した小麦との競合を回避するため、播種量、播種時期等については、さらに検討を要する。
[その他]
研究課題名:簡易耕による一年生アルファルファの同時耕耘・施肥播種栽培技術の確立
予算区分 :作物対応研究〔転作作物〕
研究期間 :平成12年度(平成11年〜13年)
研究担当者:糸川信弘、池田哲也、新良力也
発表論文等:日本草地学会平成13年度大会において発表予定

戻る