コスモス白斑病(新称)の発生と有効薬剤


[要約]
コスモスの葉に形成される白斑症状はEntyloma sp.によるもので白斑病と呼称する。コスモス属のCosmos bipinnatusのみに発病する。有効な防除薬剤は,DMI剤の3剤である。
北海道立花・野菜技術センター・研究部・病虫科
[連絡先]0125-28-2800
[部会名]生産環境
[専門]作物病害
[対象]花き類
[分類]指導
[背景・ねらい]
コスモスの葉に発生する白斑症状の被害実態,病原菌および発生生態を解明と,本病防除に有効な薬剤の探索を行ない,今後の防除対策確立のための資料とする。
[成果の内容・特徴]
  1. 白斑病の病徴は葉にはじめ淡黄色の小斑点を形成し,これが拡大し,5mm程度の円形病斑となる(図1)。病斑に多数の分生子が形成されるために白色を呈する。葉のみに発生する。病斑上にはソーセージ形の分生子(13.6〜21.5×2.8〜4.7μm)が形成され,まれに針状の分生子(24.4〜54.9×1.7〜3.0μm)も形成される。古い病斑に球形(10.1〜12.8×10.9〜14.0μm)のゼラチン質の被膜に覆われた胞子が集まった胞子堆が観察される。これら特徴から本病菌をEntyloma sp.と同定し,白斑病とした(表1)。
  2. 本病菌を接種した13種の植物の中で,発病はコスモス属のみに限られる。また,コスモス属の中では園芸種として広く栽培されているCosmos bipinnatusにのみ病原性を示す(表2)。同種内の19品種で品種間に感受性の差異は認められない。
  3. 本病の発生推移を調査したところ,初発から発病株率,発病葉率は急激に増加し,蔓延は早かった(図2)。また,感染から病斑形成までの期間は9日程度である。
  4. 本病の防除薬剤としてジフェノコナゾール乳剤,シプロコナゾール液剤およびイミベンコナゾール乳剤が有効であると考えられた(表3)。初期防除を逸すると防除効果は低かった。
[成果の活用面・留意点]
  1. コスモスに発生する白斑病の診断および防除対策に活用できる。
  2. 供試した薬剤はいずれも未登録である。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:コスモス白斑病の発生と有効薬剤の探索(指導参考)
[その他]
研究課題名:突発および新発生病害虫の防除対策
予算区分:道単
研究期間:平成12年度(平成9〜12年)
研究担当者:堀田治邦
発表論文等:

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