小豆のタンニン含量の変動要因と食味(渋味)に及ぼす影響


[要約]
タンニン含量は、普通小豆に比べて大納言で低く、中国産で同程度か高い。登熟期間の日照時間が長く、百粒重が小さくなる気象条件ではタンニン含量が高まる。また、貯蔵温度が低いほどタンニンは溶出しやすい。煮汁のタンニン濃度が85mg/100ml以上では強い渋味を感じる。
北海道立中央農業試験場・農産工学部・農産品質科
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]流通利用
[専門]食品品質
[対象]豆類
[分類]指導
[背景・ねらい]
小豆の渋の原因物質であるタンニンの変動要因として、品種、栽培年次、栽培地や栽培条件、および貯蔵条件による影響を検討する。また、タンニン濃度と渋味の関係や、あんの食味に及ぼす影響についても検討し、原料小豆の渋味成分に関する情報を付与する。
[成果の内容・特徴]
  1. 小豆のタンニン含量は、普通小豆に比べて大納言小豆では低く、中国産小豆では同程度か高い。また、栽培年次や栽培地によって差が認められる(図1)。
  2. 施肥量や追肥時期によるタンニン含量への影響は小さいが、登熟段階の早い時期(青莢)ではタンニン含量が高い。
  3. 8月中旬〜9月中旬までの日照時間とタンニン含量の間には有意な正の相関関係(r=0.607**図2)が認められる。また、百粒重とタンニン含量の間には有意な負の相関関係(r=−0.556**図3)が認められる。
  4. 常温貯蔵よりも5℃貯蔵で煮熟過程におけるタンニンの溶出速度が速く、貯蔵温度が低いほど渋が切れやすい(図4)。
  5. タンニン濃度と渋味の関係については、ほとんどの人が煮汁中のタンニン濃度が30mg/100ml以下では渋味を感じないが、50mg/100ml以上では渋味を感じ、85mg/100ml以上では強い渋味を感じる(図5)。
  6. 加糖あんに加工した場合、タンニン含量の差異はあんの渋味に影響を及ぼすものの、原料小豆の性状や加工業者の製あん技術(渋切り等)により、あんの食味評価は異なる(図6)。
[成果の活用面・留意点]
本研究成果は、実需者、生産者および今後の育種や栽培研究に対して、小豆の渋味成分(タンニン)に関する情報として活用する。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:小豆のタンニン含量の変動要因と食味(渋味)に及ぼす影響(指導参考)
[その他]
研究課題名:小豆の煮熟に伴うタンニン(渋味成分)の変動解析試験
予算区分 :道単(豆基)
研究期間 :平成12年度(平成10〜12年)
研究担当者:加藤 淳
発表論文等:なし

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