道産小麦の中華麺への利用技術


[要約]
添加物(グルテン、乾燥卵白)により麺の物性を改良することによって、麺の色に若干の劣化はあるが、道産小麦を中華麺に使用することが可能になる。また、適切に道産小麦をブレンドすることにより少量の添加物で良質な中華麺が製造可能である。
北海道立食品加工研究センター・加工食品部・農産食品科
[連絡先]011-387-4120
[部会名]流通利用
[専門]加工利用
[対象]麦類
[分類]研究
[背景・ねらい]
道産小麦を用いた中華麺は、道内の製麺業界において以前より強い要望がありながら、これまでは製造が難しいと言われてきた。道産小麦を中華麺に利用する技術を確立することによって、道産小麦の需要拡大が期待できる。一般に中華麺の品質を左右するのは、麺の色(明度、L*)と食感(物性)であるが、本研究では物性改良を中心として、添加物と小麦のブレンドによる効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 試験には、市販の中華麺用粉((札)(特)飛龍、日清製粉(株)製)を対照として、ホロシリコムギ、タイセツコムギ、ハルユタカの3品種(いずれも市販品)を用い、表1の配合で食品総合研究所法によって中華麺試験を行った。
  2. 明度(L*)で表される麺の色はいずれの小麦粉でも添加物(グルテン(G)、乾燥卵白(E))の影響が大きく、添加量の増加とともに麺の色が悪くなる傾向があり、特にグルテンが強く影響をする(図1)。しかしながら、ホロシリコムギの麺は添加物によっても対照以上の明度を示す(図2)。
  3. 麺の物性(生麺の引っ張り強度、ゆで麺の切断強度)は、タイセツコムギが乾燥卵白により、ホロシリコムギはグルテンにより大きく改善される(図1)。このためか、2品種ブレンドでは卵白とグルテンを1%づつ配合したものの改善効果が大きい(図3)。
  4. 3品種のブレンド粉では物性改善においては無添加でも対照と大差なく、明度の低下は小さかった(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 中華麺製造における道産小麦の需要拡大が期待できる。
  2. 原料の年次間による影響を配慮する必要がある。

[その他]
研究課題名:道産小麦を用いた麺の高品質化に関する研究
予算区分 :道単
研究期間 :平成10〜11年
研究担当者:山木一史、中野敦博、田中 彰、槇 賢治
発表論文等:なし

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